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フェアウェルのnanochiのレビュー・感想・評価

フェアウェル(2019年製作の映画)
3.6
家族の真ん中にいるナイナイ。
彼女は世界に散り散りになった親戚一同が集まるための目的地であり、家族の代表のマスコットであり、かけがえのない存在。
彼女がどんなふうに生きてきたのかを、周囲の人たちが示している。

対してナイナイの愛孫ビリーは、将来を含めた自分自身の曖昧さと、敬愛する祖母を親戚一同で欺き真実を告げられないもどかしさ、両親への少しの複雑な気持ちで心揺れる。
こんな大人になっても、アメリカで自我を保ち強く生きていくことは大変なんだな。
アイデンティティのゆらぎ、繊細さが伝わってくるので、ビリーの涙に苦しさを感じた。ティーンエイジャーを過ぎようが、悩みはいつだって自分にとっては大問題であり早急に解決されるべきなのよね。

ゆるがない存在であるナイナイを心の拠り所とするビリー、それでもいつかはそこから旅立つし、突然に強制的にそうさせられることもある。

穏やかに流れた長い長い時を感じる。ヘンテコリンに見える異国の結婚式も、異国の嫁を迎えることも、別々の時を経ている家族の繋がる瞬間なのだ。

不思議な隣国、中国。問題は多々あれど、なんだか憎めない存在。と思ってたんだけど…それはどの国も確かに同じだよな、と気がついた。
最後は泣いちゃった。とてもよかった。
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