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aftersun/アフターサンのnanochiのレビュー・感想・評価

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)
3.7
私の最も好きな映画のひとつ、SOMEWHEREインスパイア。

冒頭でSOMEWHEREを感じるエレメントが次々と現れるので、上映中、クレオの金色の髪がさらさらとゆれる姿がずっとチラついてしまい、帰ってDVD観たい、あれほどに完璧な父娘の映画があるものか(、いや、ない)、と思ってしまった。あまり入り込めず・・もったいない。もっともっと暑い日に見ればよかったかも。
トルコに夏休みを過ごしに来た、普段は別々に暮らす父と娘。なんだか時々、すごく不穏な空気になって怖くなる。傷つかない思い出であってほしいな、と願いながら観てしまった。

絨毯がつなぐシーンが良かった、当たり前だけど絨毯は静かだから、何も言わずともずっとそこにいて、じっと全ての出来事を見る。買ったときには綺麗だった色合いが少し褪せたいま、時が重なっていると教えてくれる。あの頃、30歳なんて完璧な大人だと思っていた。


ソフィとティーンの子たちとの関係がいかにもヴァカンスでいい。
eleven, twelveを跨いでティーン目前のソフィ。あっという間にそちらの世代になり、親とヴァカンスを過ごす夏はだんだんと減ってゆく。
親子って、残酷なまでにすれ違うよね、、それでもプールサイドではたまに交わる、日焼け止めを塗ってあげる瞬間、ダンス、ビデオが紡ぐ記憶。
なんか見終わって思い返してみると、所々、胸にくるシーンがいくつか。誕生日おめでとう、を見知らぬ人に祝ってもらうために駆ける少女とか、きれいな思い出は眩しいままに残っていてほしい。
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