kawazilikousaku

TENET テネットのkawazilikousakuのネタバレレビュー・内容・結末

TENET テネット(2020年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

例えばジョブズが僕にiPhoneの構造について100時間ぐらいかけて説明してくれるわけですよ
僕は最初の2分でああさっぱりわかんねえと思うわけです
だけどジョブズのあまりの熱量に僕は聞き流しながらも100時間付き合うわけです
途中、彼は気の利いた冗談や比喩を説明に混ぜ込んでくれるのでそこまで退屈せずに聞いてはいられるんですよ
理解は出来ないんですけど
そして延々と続いた話の後で
彼は僕に実物のiPhoneを手渡すんですよ
それはもう感動ですよ
これがそれかと
This is it 、かと
つまり理解はできなくても感動する事はできるわけです

映画の場合は、
説明し過ぎるとそれは映画ではなくなるわけです
映像があるわけですから
監督は映像で説明しているわけですから
しかしこのテネットという映画はその映像の意味自体が理解できないわけです
多分、監督はわかりやすく説明してるつもりなんですよ
赤チームとか青チームとか
幼稚園の運動会みたいに色分けして
多分そんなことしたくなかったと思うんですよ そんなダサいこと
だけどプロデューサーとかセーターを肩にかける人達から
せめてもう少しわかりやすくして下さいとお願いされて不貞腐れて
わかりましたよ
やりますよ
色分けしますよってなったと思うんですよ
もうヤケクソになって遂には時計まで色分けしてくれているんですよ
監督がそこまでしてくれているのに
僕にはさっぱりわからないんです
そもそもこの人達が何をしているのか?
一体自分は今何を見せられているのか?
どうしてそんなことになっているのか?
さっぱり意味不明なんです
僕は宇宙に飛ばされたカーズのように考えるのを辞めましたよ
それでも脳は思考を止めないわけです
この女優はどうしてこんなに背が高いのだろうとか この髭の生え方凄いなとか
筋トレ好きだな、とか
もうそんな風にしか映像を捉えることができなくなるわけです
それでも敢えていうと感動しました
リュックについてる鈴みたいなの見せられて監督がドヤ顔でニヤってしていても
それが何を意味しているのかも分かりませんでしたけど
しかし
構造は理解できなくても
iPhoneを使用することはできるわけですよ
そしてそこには感動が確かにあるわけです
例え僕の脳みそで理解出来たことが
オイルを床にこぼすと滑りがよくなるなということぐらいだったとしても
そしてこの映画の評価が高いのは、
わからないお前が悪い、とみんなに思わせる熱量ですよ
これは本当にすごいことですよ
わかんないけど、なんかすごいから
もう評価5にしちゃえ
そう思わせる熱量 大事なのは熱量
そういうことですよ
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