もちお

TENET テネットのもちおのレビュー・感想・評価

TENET テネット(2020年製作の映画)
4.5
素直に面白かった。

設定自体はガバガバなので漫画やアニメでやってもつまらなかったと思う。衝撃的で不思議な感覚に包まれる絵作りに圧倒される実写映画だからこその没入感。よくある結局キスで締めるやつとか家族愛ヒューマンメロドラマやUSA!USA!でもない素直なSF大作としても貴重。壮大な時間軸を巡る一大スペクタクルに見えて構造はミニマムという今の日本アニメのような作り。

大嘘を飲み込ませた後は細かいことはよかろうなのだ、てな映画は数あれど、最初の大嘘はガバガバのままディティールの爆撃と情報の洪水を畳み掛け没入させるという力技。カモフラージュの技術が凄まじい。

しかしまあ車がバックで向かってくるだけの映像を不気味なホラーにしてしまうというアイデアには恐れ入る。弾痕や割れたドアミラー、瓦礫やストラップなど、何かに繋がるであろう短いカットのチラ見せがいくつも散りばめられてて長い時間集中が必要なので疲れる人もいるかも。

日本に限らず解説記事や動画が腐るほど出てくる。海外でも伏線()とか回収()とか考察()とかが流行ってるのか。考察っていつから妄想とか答え合わせって意味になったのか。これに限らず他人の解説なんて見るもんじゃないと思うが、間違えたくない正解だけ知りたいコスパタイパみたいなのってますます加速しそうではある。

世界を救ったヒーロー、ニールの言葉を噛み締めて欲しい。


欲をいうなら
この設定の醍醐味を一番活かせる場面は終盤の挟撃作戦だと思うがあっさり目だったのが不思議。もう疲れてる時間帯だからという配慮かな。
もちお

もちお