主要キャストも監督に逐一相談したり、脚本を何度も読み返したりノーラン自身もスパイ映画と“時間”のコンセプトの掛け合わせに最後の最後まで苦労した約7年がかりの映画。
ロバート・パティンソン「どうやってこんな脚本を書いたのだろう?(^_^;)」
観終わって自分も素直に思いました。笑
ノーラン作品の初見は「面白かったかどうかはまだ判断つかないが凄いものを観た」という感覚に陥るんですが、見事にそうなりました。今作は特に。笑
“ノーラン史上最も難解”と口々に言われてますが、ストーリー自体は非常にシンプルなんですがこの“時間”の描き方が頭をこんがらがせてる最大の要因。
従来のタイムトラベルの様に行きたい年数に一瞬で移動するとかではなく。【逆行した時間だけ過去へ移動できる】(例えば40年前に行きたいなら実際に40年逆行しなければならない。)
従来→DVD📀とかのチャプター選択
今作→VHS📼の巻き戻し
…のような感覚。
またMCUの様に過去改変を行えば別の世界線:マルチバース(多元宇宙)が出来るわけでもない。
かと言ってBTTFの様に過去改変を行えば分岐点が生まれ自然と未来も変わってる運命論…ともまた少し違う。
一つのタイムライン上に自分が複数人いる状態が起こるという奇妙な世界線。
【粒子=順行/反粒子=逆行】という関係上、自分と自分が接触すると(肌と肌とかが)対消滅する。という分かりそうで分からないこの感じなどw
この新しい概念とマジの物理学要素が非常に観客の頭を「???」にしてきます。笑
退場時、学生グループ内の方が「私解ったよ“エントロピー”。講義で習ってたから笑」て仰ってました。(※なので“エントロピー”だけは調べましょう笑)
逆行してくる人や物(映像を逆再生してる様な動き)とのバトルや扱いは見ていてとても不思議な感覚になります。
マジでどうやって撮影してんの?笑
“逆行弾”=くらうと致命傷を負う。(※順行と違い【過去】の弾なので“回復”という過程を失うためみたいなこと…?)
なので治すには“それより過去まで”逆行しなければならない。
“挟撃作戦”=順行(現在)と逆行(未来)による時間の挟み撃ち。
…とか一々カッコいいw
この映画の物語って、始まりから終わりまでの一本のタイムライン上にある途中の話をずっと円環構造的にグルグル回ってる感じですよね。上手く言えませんが。
つまり人物も何もかも全部“途中の話”て感じがして、だから冒頭のオペラのテロシーンとかまるで映画を“途中から見始めた”かのような突然感が自分にはありました。
この映画で出てくる“無知こそが武器”というセリフがキーワードになってるくらいに、とにかく分かりそうで分からないという感じで説明もなくポンポン展開していくのでトイレとか行ってると置いてけぼりくらうかもしれません。
そして字幕を追う作業に結構集中してしまい、観終わった後は疲れましたし腹も減りました。笑
ただでも、まだ理解は出来なくとも監督の作りたいものを作ってる感じが伝わってくる非常に濃密な映画でした。最後の畳み掛けはやはり圧巻。
なんだかんだ終わった後も「あーだこーだ」と考察や余韻に浸れるのは面白かった楽しめたということだと思います。
音楽も『ブラック・パンサー』や『ヴェノム』を作った方だけあって非常にカッコいいです。
確かに難解なんですけど、色々と「この映画を理解したい!」と知識欲のようなものが個人的には湧いてきました。
パンフレットを読み込んだり他の方のレビューや考察を見たり聞いたりして、整理してもう一回観に行きます!
あの結末を知ったら次また最初から観たとき、明からに見方が変わると思います。笑
1回目と2回目以降で深み・面白さが増すノーラン作品ですが、ノーラン史上最も珍作であると同時に最も複数回観るべき作品だと思いました!
ノーランの難解さは監督特有の癖や独創性からの難解さではなく、勉強に近い知識不足による難解さとも感じれます。
だから理解できたりすると面白さに気づく“アハ体験”を感じれるのかなとも思えます。笑
補足:オープニングとエンドクレジット後に出るワーナーのロゴマークの色をちゃんと見といて。
あれは逆行して冒頭に戻れってことに見える。笑