よしじま

TENET テネットのよしじまのネタバレレビュー・内容・結末

TENET テネット(2020年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

公開から僅か数日で様々な考察がネット上で見られるので、ここでは多く語らず。

人間ドラマはいたってシンプルです。
ただ時間というものの捉え方が複雑で、それが話をややこしくしています。
クリストファーノーランの魅力はそこにあると僕は思っています。

作中にも出てくる"無知"と"記録"は、本作を最後まで見終わった後に重くのしかかります。

名もなき男とパートナーのニール、そして密かに惹かれ合うキャット、虚無に取り憑かれたセイターの4人は、時間の順行と逆行を繰り返す中で気づいたことでしょう。
"自分たちは人類滅亡を回避するためのアンカーになった"ということを。

つまり彼らが時間の檻に閉ざされることで、世界は消滅せずに済んでいるんです。
そう、この話は、スタート時から単なるループの記録を見せられていたということになります。

アルゴリズムを手にして主人公たちは笑いながら話しています。
"知り過ぎてる自分たちは自殺するか?"と。

いやいや、する必要はないんですね。
永遠に繰り返す時間の中にいるんですから。
ニールと別れる際に、彼の運命を告げなかった主人公の判断ですら繰り返していると思われます。

いったん危機が去ったとしてもその数年後、また同じ危機が訪れ、名もなき男はTENETという組織を作って、未来からやってきた男ニールと契約を交わします。
そのニールはまた過去で何も知らない名もなき男に会うでしょう。

ノーランの言いたいことの核は、"過去は変えられない"です。

それがわかったとき、その儚さゆえに、人との出会いや別れが胸に突き刺さります。

そういうエンディングまで、じっくり見てみることをオススメします。
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