TaiRa

TENET テネットのTaiRaのレビュー・感想・評価

TENET テネット(2020年製作の映画)
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観賞後感が『まどマギ』のそれ。つまりノーランは魔法少女だったという事ですね。

ノーラン史上最エモ。なのでノーランのベスト。もうノーランには面白いかどうか、良く出来てるかどうかは求めてないので。如何にエモいか、それだけ。2時間半ある上映時間の内、2時間くらいはつまらないし、シンプルに下手で今まで以上に雑。ただ逆行が映ってる間(合計30分くらい)は馬鹿馬鹿し過ぎて最高。人が後ろ向きに走ったり動いたりすると面白い、という原初的な可笑しさに全振りしてるから。映像を逆再生したら面白いというリュミエール以来の古典的な遊びに根ざした純粋さも好感を持って観た。そしてこの映画の良さの9割方が最後の1場面。「終わりで始まり」の別れ。ここの涙の美しさ、笑顔の尊さよ。俳優陣の魅力なんて劇中ほとんど描けてないのに最後だけ最高。そういうの一箇所だけでもあれば充分。これ壮大な愛の物語ですよ。それにしたってマクガフィンのつまらなさはどうにかして欲しかった。というか映画としてマクガフィンの占める要素が多過ぎる。無意味で物語の駆動にしか使わなくてもそこに面白さは乗せてよ。エリザベス・デビッキもケネス・ブラナーも損してるよ。虚無過ぎて。ノーランは映画主義者のフリしてるけど、ただの文学好きだから全部言葉にしちゃうのもなー。しかもつまんない台詞。困っちゃうね。一回しか観てないけど時間の事も思想的な事もすんなり入るくらい過去のアイディアの集積で出来てる。あとノーランって『ウォッチメン』のDr.マンハッタンとオジマンディアスを合わせたような人格だよね。
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