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TENET テネットのogata08のネタバレレビュー・内容・結末

TENET テネット(2020年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

時間逆行SFアクション。回転ドアのようなマシンを通ると時間の流れが逆向きになる。それでいて、順行人間と逆行人間が同じ空間に共存するものだから、なんとも衝撃的な映像体験が成立する。
同時にこの設定によって、時系列がはちゃめちゃなことになり、観客は「なんだかよくわからなかったけどすごかった、もう一度見たい」と全員が口を揃えることになる。

ただ正直言って、クリストファー・ノーランの過去のSF超大作たちと比べると少々弱い。確かに一度観ただけでは追いつけない部分はあるけど、何度も観たところで時系列が整理できるだけで、映画としての評価は変わらなそうな感じ。

まあインセプションに5.0、インターステラーに4.9のスコアを付けた身としては、期待し過ぎたというのが本音ではあるものの、それでもそこいらの映画に比べたら十分に面白い映画です。

いくつか細かい点を。

・「時間を遡り、過去に干渉すると未来はどうなるか」というのは多くの時間SF映画が挑んだテーマだけど、この映画の場合、ちゃんとその前のシーンの時点で(逆行が始まる前に)すでに逆行してる人たちとすれ違っていて、「あーあの時の謎のアレは逆行してるコレだったのね」という伏線回収を小まめにやってのける点はアッパレ。(一方で、劇中でも「祖父殺しのパラドックス」について触れていて、「実際どうなるかわかんね、だってパラドックスやし」と予防線を張ってるところは少し残念でもある)

・逆行中は空気中の酸素を取り込めないから酸素ボンベをつけるとか、炎が氷のように冷たいとか、ちょっと謎な設定がある。そのくせ、その設定が活かされるシーンはそれぞれ1回くらいしかなくてもったいない。科学的リアリティに傷をつけただけだったような。

・展開が早すぎる。特に前半どんどんシーンが進んで行く。いかにも「早く設定を説明しきりたい」と言っているような。確かに後半が見せ場ではあるけど、ちょっと映画の作りとしてどうなの?(インターステラーでも、主人公が家を出てから宇宙に飛び立つの早すぎて笑えたけど)

・冒頭で時間を逆行する弾丸を見せつけられて、それの扱いを訓練するようなシーンがあったけど必要だった?(説明したいだけ?)訓練したら逆行弾丸を扱えるようになるのか?インセプションは訓練と成果の繋がりがよく理解できたけど、今回は訓練もそこそこにバリバリ逆行に順応しててなんかチート感があった。(仕組みを理解できてないだけだろうか)

・近い未来に撃たれるところから血が垂れ始めたり、いつ怪我したのかわからない傷が出現したりするシーンがあったけど、逆行人に攻撃されたというなら、なぜそれまで治ってた?
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