メガさわ

TENET テネットのメガさわのネタバレレビュー・内容・結末

TENET テネット(2020年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

これすごい。面白い…。

ニールが映画の最後じゃなくて、ちゃんと途中で死んでる(しかもその時何が起こったか、よーく見てると分かるようになってる)のが脚本上の発明というか、ド真面目にタイムパラドクスを映像化している稀有な作品なのではないか…?
映画を鑑賞する際、映画の中の世界で実際に流れている時間と、見ている私たちが過ごす映画のタイムラインとが一致しないことが多い、なぜなら映画的には、先に結末が「バレて」しまうとエンタメとして成立しないから…。だから真実はなんとなく隠したり、ミスリードしたりして、最後に回想でネタばらし…的な構造にするのが普通の発想だが(分かりやすいのはハリポタのアズカバンとか)しかし、この映画は現実で起こっていることはしっかり順当に描いてしまうという…映画の中の言葉を借りるなら「起こってしまったことはしょうがない」的発想で脚本を組み立てて撮っている…目から鱗でした。

ほんで、物語のクライマックスを「ニールが死んだ」シーンにセットしているのではなく、「あの時死んだのはニールだった」と気づくシーンに置いている。ニールの物語の終着点、結末は、例の鍵のかかった扉のシーンに設定されていることは揺るがない事実、変えられない現実としてもう目撃してしまったことで…それを知っている主人公と、なんとなーく自分の結末を察してるニール…彼らがこれからどんな思いで残りの時間を歩むのか、想像させて〆るつくり。めっちゃかっこいいな〜〜面白〜〜タイムパラドクスを体験してしまった…

演出もうますぎた。鍵のかかった扉の向こうの死体、そのリュックについてたキーホルダー?鍵?を不自然にクローズアップしてて、主人公(そして観ている鑑賞者たち)はそれが何かまだわからないはずなのに「あ!?え?!何これは…!?」って感じになる。明らかに意味深なカットだったので、死んでる人が重要な人物であることは明らかで、「まさかこれ、未来の自分?!もしくはニール!?」って根拠なしのガバガバ予想したけど見事的中してしまった。。。
一瞬、ニールの顔もサブリミナル的に?ちゃんと映ってた気がするぞ…あと作戦が始まった直後?ヘリコプターを意味深に映したカットがあったはず…多分アレに、逆行してるニール(開いてる扉を閉め、撃たれる)が乗ってるんだよ…もう一回観て確認したい。

物理全然わからんけど、リアリティの持たせ方とフィクションの混ぜ込み具合が素晴らしい。色々調べて、どうやらあの回転ドアは厳密にはタイムマシンではなく、「中に入ったものを反物質にする」だけの機械っぽいと言う解釈が腑に落ちた。

もう一回見たい!

追記:気付いたことメモ

TENET…回文になってる。Nは映画の途中で終わりを迎えたニールとかけてるんじゃないかと深読みしてしまう。意味はよくわからないけど
タイトルバックの出方も渋くて好きでした

以下、自分の整理のために…
どのシーンも、逆行してる人が起こしたことの痕跡が「最初からある」状態になってる。例えば空港の回転ドアがあった部屋、キャットが撃たれるアジト、最初からガラスに弾痕がついている。
どの時点で弾痕が現れるのだろう?ルールに従うならば、あのガラス窓がこの世に現れる瞬間(ガラス業者がガラス窓を作った瞬間)から弾痕がついた状態になるってこと???その辺わからんけど、もしそうだったらおもしろい。「確実にこのガラスに何か起こる」ことが分かった上で弾痕のあるガラスをはめて、あの秘密の部屋を作るわけでしょ…怖すぎるな。編集のトリックでその辺うやむやにしてるのもまたウマいなって思った。

あと逆行するビルに巻き込まれて閉じ込められた人。怖すぎる。どういう状態になっちゃうの?分子レベルでビルと溶けあっちゃうの?それとも存在自体無くなっちゃうの???そのうち未来でビルが解体されたときに、人間の成分が溶け込んだビルの怪事件!みたいになるのだろうか?嫌だ…
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