マツダタケシ

空の青さを知る人よのマツダタケシのレビュー・感想・評価

空の青さを知る人よ(2019年製作の映画)
4.5
井の中の蛙大海を知らず
されど、空の青さを知る

「狭い世界に生きて広い世界のことを知らない」という意味のことわざ。後になって「されど空の深さを知る」という続きが作られたそう。「狭い世界で一つのことを突き詰めたからこそ、その世界の深いところまで知ることができた」の意味。

しんのとしんのすけが顔を合わせるシーンまでは、ストーリー以外特に分からず。小屋に置きっぱなしのギターが、あかねと一緒に買いに行ったものであることが分かり、ようやく解釈ができるように。

初めて顔を合わしたシーンでの2人の会話にて。前進して大人になり、世の中という大海を知ったことで、打ちのめされただろう、しんのすけ。一方で、確信のないなか、恋人への想いに縛られて前に進めないしんの。

弦が切れて部屋から出るシーンも、空を自由に飛び回るシーンも、まだ井の中の蛙であり、不安より希望を持つ18歳を象徴的に描いていると感じた。冒頭のあおいは「どんな夢も叶うを探している」と言い、東京から帰ってきたしんのすけは「どんな夢も叶う気がしてた」と言っていたのも、高校生と大人にとって不安と希望を天秤にかけた時、どちらに傾くのか異なることを描いている。

空の青さを知ってしまったら、あかねがノートを付けながらあおいを大切にする気持ちが大きくなって行く度に、おにぎりは昆布しか握らないし、あおいが見る空はくっそ青くなる。