くまがい

柄本家のゴドーのくまがいのレビュー・感想・評価

柄本家のゴドー(2018年製作の映画)
4.3
あまりにもすごい、芝居ってこんなふうに作られるんだと思った。会話がはじまったらなにかが起きてしまう、というのはベケットの小説三部作なんかにも見られる言葉のとめどない(そして空回りし続けぜるを得ない)運動が身体を動かすあの感覚だ。柄本明の繰り返す具体というのもとてもしっくり来る。抽象的で一貫したテーマ性みたいなものを排してただそこにある事柄をそれ自体として、まったく個別的な感情をもって語ること、それはあまりにも通常の物語や芝居といったものからはかけ離れている。悲しければ悲しいほど喜劇的で、そして泣けるというのもまったくそうだ。しかしまあそういったことを批評として語るのはまだ易いけれども、それをみずからの身体をもって実践するというのは、またとんでもないことなのだろうなと思う。
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