傑作。
遮断機が降りた踏切の中を歩く女の姿でタイトル。もうどういう女かわかる。
喪服の男女がいる駅のホームから2人が向かい合う車内、陸橋から撮った列車、街、コインロッカーという丁寧なカット、なおかつ無駄のないテンポ。どれだけロケハンしてるんだろう。最初の5分でこれだけのことを撮影している。
葬式で出会った初対面の、それぞれ訳ありらしい男女が道行きになるのは、やはりまだ人生に期待があるからだ。たとえわずかにでも。
回想シーンの挟み方の見事さ。テラスで暮れていく背景の空。木立で佇む男女の離れた距離も、歩く時は自然と並ぶ近づき方も、並々ならぬロマンティシズムがある。
優しいセックスからつながる暗示的なラストカットまで、惹かれ合うという現象を真摯に、丁寧に見据えた映画。