碧

愛欲の港の碧のレビュー・感想・評価

愛欲の港(1948年製作の映画)
3.6
邦題の「愛欲…」のせいで見るのを躊躇していたけれど、エロティックさはなく、港町で肉体労働に携わる男性と、母親との確執から非行に走っていた娘の話がモノクロで心の内面を掘り下げるように描かれる。

親と子の確執はベルイマンの深層のテーマの一つに思えるが、ここでの母は娘の尊厳を気安く踏みにじり、自分の満足の行く反応が得られないと「手に負えない」などと罵倒し、非常に身勝手。

娘は傷つき自殺を試みながらも、再び人を愛そうとする強さがある。

自殺未遂や暴力沙汰も描かれるが、ネオ・リアリスモの時代背景を考えるとかなり穏やかで明るい。
碧