碧さんの映画レビュー・感想・評価

碧

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悲愁(1979年製作の映画)

4.3

「情婦」が面白かったのでミステリアスな本作を選択。アンティークな余韻、くすんだ静かな世界に引き込まれた。

リゾート地の孤島の古びた石造りの館。雑然とした鄙びた商店街、色褪せたレトロな海の青としっくり
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ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還(2003年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

アラゴルンたちが決死の攻撃でサウロンの目をそらす中、フロドとサムは倒れそうになりながら滅びの山を登って行く。
フロドは火口に近づくにつれ力を増す指輪のせいで息も絶え絶えになる。
「指輪の重荷を背負って
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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

3.9

最後は人間味、キャラクターで物語は決まるんじゃないかという自分の基準でいくと草太は役割の域を出ず、鈴芽はバタバタしていると感じる。環と朋也はいいと思う。

廃墟すら美しすぎるほど風景は素晴らしい。
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ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔(2002年製作の映画)

4.0

的外れなことを言ったり、フロドたちに置いていかれたり、今まであまりいいところが見られなかったピピンとメリー。

モリアの坑道に潜む化け物にガンダルフが奈落の底に引きずり込まれ、ボロミアが討たれ、一行が
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アンドレイ・ルブリョフ 動乱そして沈黙(第一部) 試練そして復活(第二部)(1969年製作の映画)

4.0

モノクロを白と黒、じゃなく1960年代にあのグレーの繊細な階層を映し出す。
冷たい雨や雪、濡れた男の表情から、愚かさや嫉妬、苦悩、貧しさが潰れず繊細に映っている。
風刺的に歌う旅芸人が官憲に暴行された
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ロード・オブ・ザ・リング(2001年製作の映画)

4.0

ゲド戦記とナルニア国物語は何度も原作を読み返しているが、指輪物語を読んでいなかった。
これを読んでいないとファンタジー好きとは言えないと思い読みはじめたが、似たようなカタカナ地名と登場人物の多さに挫折
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ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス(2016年製作の映画)

3.8

キューバの16世紀先住民族が絶滅させられ、侵略者がとってかわり、黒人が奴隷としてつれてこられ、20世紀独立するもアメリカの干渉を受け、カストロ、チェ・ゲバラといった革命家達によって自治を手にしてゆく、>>続きを読む

若者のすべて(1960年製作の映画)

4.5

1960年公開の貧しい労働者階級を描いた白黒映画だけど、どんなに血と汗と涙と泥にまみれて汚れていても、20代のアラン・ドロンが美しくて、彼が出てくると画面がきりりと引き締まって光輝く。

アラン・ドロ
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ジャンゴ 繋がれざる者(2012年製作の映画)

4.0

静かな夜、美しい庭、豪華な家具調度品にかこまれた部屋で、上品なドイツ人医師によって突然もたらされる過激なバイオレンス。
勧善懲悪、面白半分に人種差別する白人に対する正当防衛の殺人。捕まえるには生死を問
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カラスの飼育(1975年製作の映画)

3.5

子供時代の終わりの、あの瞬間のアナ・トレント、あの深い瞳、凄まじい存在感を見るための映画。
もっと美しい少女でも他の俳優では成立しなかっただろう。
独裁政権への暗喩とかもっと深い意味があるのかは難しく
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夏の嵐(1954年製作の映画)

3.7

失って初めて大事なものと気がつく。
失うまでは当たり前だと思っているのに。
夫を裏切り、祖国のために戦ういとこを裏切り、何もかも捨てて道ならぬ愛を注いだ敵国の将校とは最後最悪の結末を迎える。

悪い男
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ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)

4.0

高速道路が全面駐車場と化すうんざりな大渋滞。
一人、また一人とドアを開け、皆外へ出て、歌い、一斉に激しく踊りだす。他のことは何もかも忘れ、思い切り踊って超ワクワクな始まりだ。
共に過ごす美女仲間たちと
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麥秋 4Kデジタル修復版(1951年製作の映画)

4.0

自分の生きてた時代じゃないのは同じでも、父や母の時代だ、少し前だ!という懐かしさを時代劇などよりとても強く感じる。北鎌倉という地名が出てくるのもいい。
原節子の立ち姿やレトロなワンピース姿はすらりとし
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東京物語 4Kデジタル修復版(1953年製作の映画)

4.5

切実すぎて直視できなかった。
私はそんなに真面目にしなかったけど、子育ては幸せの最たるものではあるが多くの親は金、時間、体力、時には命がけで全てを費やして子供を育てる。けどその大変さは子供にはわからな
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情婦(1957年製作の映画)

4.5

仕事熱心だけど持病がある老弁護士のパワハラになりかねない暴言めいたセリフに、全然負けてない皮肉がビシッと効いた看護師の女性の逆襲のセリフ。

ネタバレになるから具体的に言えないけど、看護師の女性はおせ
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そして船は行く(1983年製作の映画)

3.5

無音のモノクロ画像から音と色が春の訪れのように少しづつ現れてくる。
歌姫の葬送は美しくきらめく造り物の空と海に風に運ばれ散り散りに消えていくけど、
大型船のボイラーの轟音にも負けなず歌い手たちの歌声は
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銀河鉄道の夜(1985年製作の映画)

4.0

ジョバンニはもの静かな瞳の青い猫に描かれている。
一見大胆に原作を変え、身近な動物で親近感を誘っているようだが、自然界に存在しない青猫は、人間の生々しさを極限まで排除した銀河の底に微かに明滅する宮澤賢
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ハリー・ポッターとアズカバンの囚人(2004年製作の映画)

4.0

成長過程の一瞬を切り取った子供時代と青年期を繋ぐ作品。
それぞれに少し着崩したホグワーツの制服姿や伸びた背丈に軽やかな私服姿が爽やか。

クレイジーな乗務員のナイトバスや遊び心満載の忍びの地図、ロンと
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.2

平山が眠る場面の次は、揺れる木の葉と木漏れ日、砂のようなさらさらした何か、女性の眼差しなど、美しいモノクロの夢が決まって訪れる。

夢は心を整えるため見るとも聞くが、古いアパートに一人暮らしでも、懐か
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パルプ・フィクション(1994年製作の映画)

4.0

トラボルタはサタデー・ナイト・フィーバーやグリースの頃のキラキラな印象が残っていた。
あのころは若くて天性の魅力が輝いていたが、この作品の彼はピアスに長髪の殺し屋なんて、少し疲れて臆病さも見える、ちょ
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ベロニカ・フォスのあこがれ(1982年製作の映画)

3.0

あえてモノクロで作製し陰影の美を作り上げ、薬物の恐ろしさ、NATO加盟のニュースなど戦後ドイツの社会情勢を漂わせた、ベルリン国際映画祭で受賞など映画通からの評価が高い作品。

ヴェロニカのあこがれるも
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ハリー・ポッターと秘密の部屋(2002年製作の映画)

4.0

ファンというほどではないですが、原作読んで、映画館で最初見て、DVD持ってるのにテレビでやるときは時間が合えば見てます。

魔法も使うけど、頭を使い、泥まみれになって汗を流し、仲間と助け合って戦うとこ
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イージー★ライダー(1969年製作の映画)

3.7

優しい人、乱暴な人、内気な人、人懐こい人といろいろで、「アメリカ人」と一括りにするのは違うけど、アメリカの物語だなと思う。

ラスト、自由を恐れてかもだが、やった方は葛藤していないように見える。いろん
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スティング(1973年製作の映画)

4.0

某脚本家が親子で見て子どもも面白がったと書いてあったので、詐欺師対マフィアだけど流血が苦手な私でも大丈夫かなと見てみました。

ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードがクラクラするほどいい男なの
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ハリー・ポッターと賢者の石(2001年製作の映画)

4.0

キャストたちが本当にピッタリ。。
特にハリー、ロン、ハーマイオニー、マルフォイ役はそのために生まれてきたんじゃないかって思うほど。
さらに子役特有の吸引力で心を鷲掴みされ持っていかれる感じ。

最初見
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ゴッホ~最期の手紙~(2017年製作の映画)

4.0

作品は実写ではなく、ゴッホの絵を少しずつ動かしたようなアニメーションだ。
絵を動かしてるだけじゃなくてゴッホの他人との関わりにおける閉塞感、女性を慕う想い、風景への愛情など内面が画面ににじみ出ているの
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バグダッド・カフェ(1987年製作の映画)

4.0

ロードムービーっぽい感じがただよっていて好き。
砂漠の中のカフェなのに金魚の水槽があったり、絵描きが長期滞在してたり謎めいてもいる。
たまたま訪れたジャスミンはいいところの奥様かと思ったら意外にこまめ
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甘い生活(1959年製作の映画)

4.5

ストーリーに頼らず広く深い映像空間を重ねて畳みかける。

ヘリコプターで釣り上げられて移動させられるキリスト像のスタートが象徴的。

一見脈略のない、現れては消える美しい女たち。
高慢だったり嫉妬深か
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Pina ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち(2011年製作の映画)

3.5

土のまかれた舞台で、土にまみれて踊る。
黒いテーブルと椅子が散らばる部屋で、その間を抜けて踊る。
痩せた体で、表情のない顔で。
人々が静かに穏やかに乗り合わせるモノレールにカツカツと足音を響かせ、異様
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アラビアのロレンス/完全版(1988年製作の映画)

5.0

戦争ものは苦手だけどこれは見たいと思っていた。

日中気温50度を超すとのことだが、砂漠や岩山、とおりかかる駱駝の歩みは美しいの一言に尽きる。

迫力に満ちた映像に圧倒される戦闘シーン。頭が良くて、行
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愛欲の港(1948年製作の映画)

3.6

邦題の「愛欲…」のせいで見るのを躊躇していたけれど、エロティックさはなく、港町で肉体労働に携わる男性と、母親との確執から非行に走っていた娘の話がモノクロで心の内面を掘り下げるように描かれる。

親と子
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旅情(1955年製作の映画)

4.0

古い映画だし当時40代とのことだけど、キャサリン・ヘプバーンは表情や着こなし、立ち居振る舞いがとても愛らしい。
列車に乗っているときの襟元がフワっとした茶色のジャンパースカートは髪色と合っていて可愛い
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ジンジャーとフレッド(1985年製作の映画)

3.0

この映画には出てこないけど、本物のジンジャー・ロジャースはスラックスをはいていてもメチャメチャ可愛くて、炎みたいにキラキラと踊っていた。フレッド・アステアはしなやかな細身の身体を超絶スピードに乗せて優>>続きを読む

ノートルダムの鐘(1996年製作の映画)

4.4

最近のコンピュータでキッチリ陰影つけたディズニーの人物造形に慣れてしまって、最初あれっと思ったけど、豊かで繊細な表情の変化にだんだん気にならなくなっていって。

そしてノートルダム寺院が重厚で大迫力で
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