ぎー

ひとよのぎーのレビュー・感想・評価

ひとよ(2019年製作の映画)
3.5
【白石和彌特集8作品目】
白石和彌特集もこの映画で一旦終わり。
8本見てきたけど、最も穏やかな映画だった。
松岡茉優が出演してることもあってか、なんなら『万引き家族』みたいな空気感の流れる映画だった。
そして『死刑にいたる病』同様、難しい。
白石監督の映画は年々ちょっと難しくなっていってるのかな。
殺人事件の被害者でもあり加害者でもある家族、という滅茶苦茶難しいテーマの映画だった。
解説サイトとか色々見たけど、結論から言っちゃうと、結局どんなことが過去にあろうと、現在どんな繋がりだろうと、家族はかけがえのない存在、っていう普遍的なことが解だったんだと思う。
ラスト間際で、皆でお母さんが空を見上げている様子を後ろから見てる場面がめちゃくちゃ感動的だった。いろんな感情があったかもしれないけど、あの時母を見て、感謝とか母がいてくれて良かった、って思っていなかった子供はいないと思う。
そして、演技演出も難しい映画だったと思う。
役柄も極端な役柄じゃなくって、繊細なズレを表現しなきゃいけないから。
やっぱり鈴木亮平はすごかったな。
『虎狼の血』とのギャップが凄すぎて、改めて本当に凄い俳優だと思った。
白石監督作品常連の阿部サダヲじゃなくって、この映画では佐々木蔵之介がサイコパスを発揮してた。
一番違和感あったのは、千鳥の大悟。
どういう趣旨のキャスティングだったんだろう?
大悟大好きではあるけど。笑
あと、MEGUMIは演技力すごくなってたな。
もう、ただのグラビアアイドルじゃないな。

お母さんはお父さんのこと、殺すしかなかったのかな?
どうだったんだろう。
確かに虐待はひどくって、滅茶苦茶追い詰められてたんだと思う。
でも、当たり前のこと言っちゃうけど、人の命を奪うのとそうでないのとでは、天と地ほどの差がある。

お母さんが出頭した時、中学生くらいの兄妹でタクシー運転して追っかけたのすごかったな。
そんな年齢でもう運転できたんだ。

三兄妹それぞれ問題を抱えていて、正直うまく行ってない。
大事なことは、捉え方よな。
3人ともうまく行ってない、と思ってた。
だからアンハッピーだった。
これは気持ちの問題なんだと思う。

自分たちのためにしたことだから、お母さんを温かく迎えるだろう、って見てる俺らは思っちゃうけど、当事者からするとそんな生易しいことじゃないんだろうな。
いない間に色んなことがあったんだろうな。

ああいう類の嫌がらせは誰がするんだろう。
本当に酷い。
すごい暇人なんだろうな。

正直佐藤健がお母さんをネタに記事書いたのは全く理解できなかったけど、もう家庭環境が特殊すぎて、当人しか理解できないだろうな、って納得することにした。、

鈴木亮平とMEGUMIの喧嘩で、ただ単にMEGUMIが嫌いなだけかと思ってたら、向き合って欲しいという願いだった。
ここは何か胸を打たれたな。

佐々木蔵之介の気持ちも分かるな。
更生しようと頑張ってたところで、息子の堕落を目の当たりにするんだもんな。
キツイよな。
飲みたくもなるよな。

カーチェイスの演出は必要だったかな。
白石監督らしく、安っぽい演出無しに最後までやりきって欲しかったかもしれない。
ぎー

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