ジェイティー

9人の翻訳家 囚われたベストセラーのジェイティーのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

ベストセラー小説の完結編を翻訳するためにフランス郊外に集められた各国の翻訳家達、最初は順調であったが最初の10ページを流出させるという強迫メールが送られ事態が一変するお話。

公開時話題となり実際高評価の作品です。
ですが結論から言うと少し自分には合わない作品でした。

時系列をずらし、伏線やミスリードなどを散りばめたりすること自体はミステリーでは定石ですしそれ自体は問題なかったのですが、どうにも犯人に共感できない事が多々あり、観終わってもスッキリさせたいのかどちらにも落ち度はあるよねとさせたいのか今一つピンときませんでした。

確かに動機については良く分かりますし何とかしようとするのも共感はできます。
ですがそれによって生じた劇中の不幸について犯人になんらペナルティがないように思えて少々イライラしました。
これはいかに人の心を動かす文章を描けても実際に人の心の動きを理解できていなかった犯人の欠けている人格面だったように僕は思い、
それゆえに復讐を名目にしているだけで目的のために他者を巻き込む幼い精神の持ち主だったようにみえて何ら共感できませんでした。
正直こいつの芸術に対する考え方が多大なる不幸を招いたことを自覚して生きてほしいと思いました。
まあエリックの行き過ぎた行動も問題ありましたが...

とはいえここまで没入できたという事は作品として良いものであることは否めませんし、皆さんの高評価も間違いないと思います。
まだ鑑賞されていない方は是非ご鑑賞ください。