ボロロボ

9人の翻訳家 囚われたベストセラーのボロロボのレビュー・感想・評価

3.9
コロナ禍で観に行けなくなっていた当作。緊急事態宣言が解除され、まだ上映されてたので約2ヶ月ぶりのシアター鑑賞。
久方ぶりのちょっとした遠出だったせいか、移動時間を読み間違えてしまい、上映開始時間ギリギリに滑り込みセーフ。何かとスケジュールが立たない状況なので、本編前の新作予告もきっと短かったのだろう。

よく出来てるミステリー。
隠蔽とミスリードの嵐。鬱設定、鬱エピソードがスパイス。序盤は時制の説明があるけど、途中からは観てる側に理解を求め、混乱させながら手の内を隠そうとしてくる。
良作だけどモヤモヤが残る。モヤモヤするからこのスコア。

翻訳家という職業の描き方がよい。
自分の仕事に通じるところもあって・・・似たような仕事をやっていた時期もあっただけに、いろいろと身にしみたり心に突き刺さるものが多々あった。

オリジナルクリエイターは「神」みたいなもの。神が造りたもうた世界は戒律の下に成り立ち、その世界で戒律に反するものは裁きを受ける・・・信者には信仰と献身(犠牲)と理解と奉仕を求める・・・。

神は傲慢だ。
私はそう思った。
だから鑑賞後モヤモヤしてるのだろうと思う。

役者陣の演技、すばらしかった。
ランベール・ウィルソン、オルガ・キュリレンコといった有名どころはもちろん、彼ら以外も。みなさん、母国語以外にフランス語も堪能でスゴいなあ。
イタリアの翻訳家は「ジョン・ウィック2」のボスでしたね。デンマークの翻訳家とローズマリー、観たことあるはずなんだけど・・・

音楽も良かった。日本人の三宅純さんが担当。早速AppleMusicでDL。

劇場売店にてパンフレットが取り扱われてなくて残念。

久方ぶりのシアター鑑賞で感無量。
やはり大スクリーン、大音量、暗闇での鑑賞こそ映画体験。
一方で、劇場スタッフは衛生対策で大変だろうし、劇場経営は集客制限のため大変だろう・・・。
私はできる限り映画館での鑑賞を続けていきたい。願わくば、世の中の映画館ができる限り変わらず残っていってほしい。
ボロロボ

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