りょう

サスペリア PART2 完全版のりょうのレビュー・感想・評価

サスペリア PART2 完全版(1975年製作の映画)
3.8
 この作品は、これまでテレビの吹替版でしか観た記憶がありません。ただ、その記憶は幼少期のころ、当時は映画評論家の荻昌弘さんが解説していた「月曜ロードショー」だったことは鮮明です。この番組は、こういうカルト風で、少しショッキングなサスペンスが多かったイメージです。小学生低学年には刺激的すぎたからかもしれません。
 40年以上ぶりに、しかも126分のレストア完全版で観ました。少し撮影や編集に荒っぽいところもあるし、犯人の行動原理がよくわからなかったり、物語の展開にツッコミどころがないわけではありませんが、当時の作品としてはかなりのクオリティです。連続殺人をテーマにした作品としても1980年代以降のサスペンス・スリラーの原型になっている印象です。ジェームズ・ワン監督の「SAW」に登場するからくり人形の元ネタはこの作品かもしれません。
 いまとなっては惨殺シーンもソフトに感じてしまいますが、Goblinの劇伴が際立ってポップだし、ピアニストのマークと新聞記者のジャンナのラブコメ風の展開もあって、このままハリウッドでリメイクされてもおかしくないエンタメ作品です。
 被害者であるヘルガの部屋の廊下にあった犯人のヒントになるものは、最初に気付きましたが、「なんでこんな重要なものが一瞬だけ?」と思いました。目撃者であるマークが「絵画がなくなっている」ことにこだわることにも違和感があります。それがエンディングの真相につながってスッキリしますが、この演出を狙ってやっているなんて、それだけでも軽い衝撃でした。
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