このレビューはネタバレを含みます
なくなっていくいくものへの郷愁。からの再生。
再開発のため銭湯の閉店を余儀なくされる。それまでの交渉も虚しく、銭湯を含む商店街はなくなってしまう。その後の彼は・・・タワーマンションの住人となるが、職場である銭湯がなくなったので無職である。誰もが羨むようなタワーマンションに住む事はできても、仕事をしなければ生活できない。おそらく50過ぎの男にできるような仕事は限られている。求人誌を見ると、とある銭湯の求人が・・・そこで彼女と再会する。そして微笑み合う。
松本穂香(宮川澪)の祖母役・樫山文枝(宮川久仁子)の発声が素晴らしい。今年80歳になられるそうだが、最近のボソボソ喋りのお芝居が流行ってる(?)なか、しっかりと聞き取れる。それも違和感なしにである。少し前に見た映画の佐々木すみ江さんもそうだった。
『自分は光をにぎつてゐる』 山村暮鳥
いまもいまとてにぎつてゐる
而(しか?)もをりをりは考へる
此の掌(てのひら)をあけてみたら
からつぽではあるまいか
からつぽであつたらどうしよう
けれど自分はにぎつてゐる
いよいよしつかり握るのだ
あんな烈しい暴風(あらし)の中で
摑んだひかりだ
はなすものか
どんなことがあつても
おゝ石になれ、拳
此の生きのくるしみ
くるしければくるしいほど
自分は光をにぎりしめる