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わたしは光をにぎっているのtakuのレビュー・感想・評価

わたしは光をにぎっている(2019年製作の映画)
4.3
最高最高最高

この映画の意図をどこまで深く読めるかというのは、ある感覚を持ってるかどうかによる。

ある感覚というのは、パンフレットに載っている宮台真司のレビューでよく言語化されている。
簡単に言えば、行き詰まりを見せる現代社会、その「外」にいる人間の感覚だ。

この映画には、人間が生きるにあたって本当に必要なものが描かれている。それは本作で銭湯や下町の人間関係などの失われゆく風景に象徴されている。
変化を重んじる現状の社会システムに乗ることのできる「内」の人間には分からず、社会でうまくやっていけない澪のような「外」の人間にこそ見えるものだ。

これはただ田舎から出てきた引っ込み思案の女の子が都会で居場所を見つけるという話ではないと思う。わたしが握っている「光」っていうのは、銭湯という場所や人間関係などをひっくるめた、上記のような感覚そのものなのかなぁと考えると、本当にすごい映画だ。
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