MasaichiYaguchi

スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

3.4
北川景子さん主演の「スマホを落としただけなのに」の続編では、彼女が演じた稲葉麻美を救った刑事の加賀谷学を主人公に新たな事件が描かれていく。
千葉雄大さん演じる加賀谷学は過去のトラウマを抱えた人物で、現在は神奈川県警のサイバーセキュリティ対策課に所属している。
そんなある日、加賀谷が逮捕した連続殺人事件の犯人・浦野善治の殺人現場付近から次々と若い女性の遺体が発見されたことから、再び猟奇連続殺人事件に関わっていくことになる。
事件現場が近く、手口が似ていることから囚われの殺人鬼・浦野に捜査協力を仰ぐことになるのだが…
この作品を観ていると、アカデミー賞主要5部門に輝いた「羊たちの沈黙」を思い出す。
本作は設定、筋立てにおいて「羊たちの沈黙」を踏襲していて、映画の途中で“落ち”が予想出来てしまう。
だから本作の見所となるのは、加賀谷と浦野との対峙にあると思う。
この2人は似たような過去を持ち、まるで合わせ鏡のように照らし合っていて、ちょっとした違い、巡り合わせで、1人は刑事に、もう1人は連続殺人鬼になってしまったと思う。
ストーリーの進展と共に2人夫々の過去が語られていき、特に加賀谷のトラウマの背景が浮き彫りにされる。
連続殺人事件及び同時に起きたハッキング事件の黒幕として“M”が出てくるのだが、本作は“M”の正体と行方を追ってネット社会の闇を炙り出していく。
炙り出した先には何が待ち受けているのか?
自らの持つものも含めて“闇”と対峙した主人公が見出だしたものに救いと温もりを感じます。