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パラサイト 半地下の家族のRIKAのレビュー・感想・評価

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
3.8
面白かった!

ストーリーとしてははちゃめちゃだし、
なんでそうなるねん!っていうツッコミどころも満載だけど、
少し現実離れしたストーリーだからこそ
空間対比の描写が逆にリアリティを感じ興味深かった。

家の前に立ちションを垂れ流される環境に住む
主人公の大学生。
Wi-Fiの弱い狭い住居で家族四人。
くちゃくちゃと音のたつ食事風景、
大皿料理を取り分ける。
何一つ統一されていない雑多なもので溢れかえったごちゃついた室内は、もらったり拾ったりしたものでまかなっていることがよくわかるし、
いわゆる貧困家庭にありがちな風景だ。
干しっぱなしの洗濯物。
白々しい蛍光灯の明かり。
よれよれのTシャツ、調子の悪いトイレの排水。
家族にはこれといって笑顔がない。
貧乏を絵に書いたような暮らしだけれど、主人公もその妹も決して知能が低いわけではなく大学に通う至って普通の人だ。


それに対して、主人公が家庭教師として訪れた
教え子の家は裕福な家庭。
坂の上にたつ豪邸、
無駄のないスッキリとしたリビング、
統一されたセンスのいいインテリア、
冷蔵庫の中の豊富な食材、
生活に余裕のある人の特徴的な笑顔。
何もかもが対照的だ。


殺したり殺されたりというまさかの展開は
いやー、さすがにドタバタしすぎだろー(笑)と思いつつ、まぁそれは映画だから楽しむとして、
主人公が最後に
「僕も社会人になって事業を成功させて大金持ちになって、この家を買い取ります」というような妄想シーンがありましたが、
映画を見た誰もがきっと

残念だけど、
君は…そっちの世界にはいけないと思う


というふうに感じたのではないだろうか。
格差社会は、本人の努力や能力の及ばない【持って生まれた運】と【たまたま恵まれた環境】の有無でスタートラインがあまりにも違うという
絶望的な現実を、薄々とみんな感じている。

壮絶な受験戦争を勝ち抜いたにもかかわらずいい就職先がない。高収入を得られるチャンスが回ってこない。

スタートラインにたてない人は、さて、どうしたもんか。

闇、である。


ちなみに主人公の妹はヒコロヒーで、
裕福な家庭の旦那さんは谷原章介として
脳内変換して見てました。
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