ニカイドウ

パラサイト 半地下の家族のニカイドウのレビュー・感想・評価

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
4.5
2020年アカデミー賞作品賞。
この作品を、俺は面白いとは言いたくないなぁ。
一言で言えば不快。
笑えないブラックジョーク。
…ちょっとニュアンスが違うな。説明が難しい。
笑ってはいけないブラックジョークやからこそ笑ってしまう。坊さんが屁をこいた理論…そんなんないか。笑
いや、そもそもブラックジョークってそういうもんか。
…とにかく最後まで観てしまう。
だから、面白いんやと思う。
ストーリーは、「こうなるやろうな。」って思うけど、思った時にはそうなれへん。
結局、大筋は思ってた通りやけど、過程がちょっとづつズレる。
だから、展開を楽しんでたんやと思う。
初め、長男が韓流ドラマの主人公みたいに良いヤツ…に見える。
けど、他の家族はクソみたいなヤツら。
ただ、家族の絆だけは強い。
そして、長男も結局は家族というコミュニティの一員やねんよな。
俺、一時期バイトの面接してたんやけど、韓国人雇うと何故か韓国人ばっかり面接来るんよなぁ。
それ思い出した。
近所のアジア系外国人達は、いつも自転車の集団で行動してる。こないだも信号待ちで10人くらいに囲まれた。知らん集団に囲まれて、外国語でワーって喋られたら怖いよ。ホンマに。けど、彼らは俺が怖がってる理由すら分かってないんよな。多分…。
そういう日常とのリンクが、この映画をより不快なものにさせる。
悪事を悪意なく行う主人公達はとても不快。
けど、後半、雰囲気が変わる。
雨の中、金持ちの家から半地下の家へと帰る家族。ずっと下り続けて、下り続けて、下り続けて…やっと辿り着いた家は…
上に住む者と下に住む者の相容れない部分を、言葉ではなく伝えて来るあのシーンには圧倒されるよな。
不穏な空気に息が詰まるよな。
結局、悪事を悪意なく行ってるんはどっちや?
そんな事を考えながら、ついついラストまで観てしまってる。
半ば力押し気味ではあるけど、この作品に魅了されてる自分がいる。
ラストも絶望を加速させる作りで良かった。
『パラサイト 半地下の家族』は、不快から何かを得る映画。不快に思う事こそが、この映画を楽しむ最良の方法なんじゃないかな?
そして、その不快な部分が自分自身にも存在する事をしっかりと自覚させられるんよ。
だから、手放しで面白いとは言いたくないんよなぁ。
結局は格差じゃなくて、自分のコミュニティの規範から外れる者を許せない。自分の中のそういう嫌な部分をまざまざと見せつけられてるんよ。
結局、糞尿の上がって来る便器の蓋の上でタバコを吸ってるんよな。俺らって。
臭いものには蓋をしろって、韓国にもあるんやな。
抉って来るねぇ…良き。笑
ニカイドウ

ニカイドウ