3,4年前に各国の映画賞を総ナメした本作。
とうとう初鑑賞です。
見終わって真っ先に浮かぶ感想が「構成がすごい…」という感想が頭に浮かぶほど、緻密で素晴らしい出来栄え。
序盤はオーシャンズのような詐欺師映画のテンポ感とコメディタッチで描かれながらも、中盤以降ではハラハラとする展開が続き、ラストはまさかまさかの……という奇抜な味変映画。
ただ一貫して、韓国で社会問題になっている"格差"がベースとなっていて、【半地下に住む一家 ↔ 高台の豪邸に住む一家】の対であったり、隠れる場所も決して"上"ではなく"下"に隠れるといったように、あらゆる場面での上と下の対照関係の描かれ方が秀逸でした。
さらにはこの"格差"の表現の仕方もリアルに近いように感じられる絶妙なライン。
IT企業CEOのパク一家は、裕福でありながらも人間としては全然悪くない人たちではあるが、悪気はなくとも臭いに顔をへしゃげたり、一大事の渦中においては、キムの身を案じる言葉ではなくパク自身の一家のみが逃げることしか考えていない言葉(「早くキーを投げろ!」)がとっさに出るなど。
そんな感じのリアリティさもあるのでノンフィクション作品にも感じられるし、かと言って貧乏一家が裕福な豪邸に寄生(=パラサイト)するという非現実的なストーリーを持ったフィクションでもあるし、どちらの視点から観ても面白い1作でした。
そして監督の遊び心なのか、小ネタ的要素も散りばめられていて鑑賞後の考察も楽しいという濃密さ。
終盤、"上"から降る大雨と、"下"から湧き出る汚水の両方から打撃を食らうキム一家が、まさに一家が直面してる状態を暗に示しているのかなとも思ったり…(考えすぎ?)