朝田

パラサイト 半地下の家族の朝田のレビュー・感想・評価

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
4.6
試写で鑑賞。冒頭から驚くほど軽快なテンポで、シンプルな構造のコメディが語られていく。が、物語が進むにつれ、タイトルである「パラサイト」、つまり寄生という言葉が内包する真の意味が明かされていく。そして次第に笑いは恐怖へと変貌を遂げる。全てのセリフ、ショットが巧妙に伏線として機能していく精密に造られた娯楽作品でありながら、強烈に現代の社会を皮肉る風刺劇としても成立している凄まじさ。このエンタメと社会への批判精神を融合させる感覚は、ルイス・ブニュエルの作品群のそれに近い。韓国の社会を寓話的に描く、という所に留まらない、日本を含めたあらゆる国全体に言えてしまうような、普遍的な支配関係を今作は描き切る。具体的に分析すると楽しみを削いでしまうので多くは語りたくない。とにかく滅法面白い作品だとだけ言っておきたい。
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