意識せずとも、
もしかしたら意識して消そうとしたとしても
身体から仄かに立ち昇る匂い
生まれたての赤ちゃんのお乳の匂い
子どもたちの汗の匂い
甘酸っぱい青春の匂い
大人になると
それぞれ、その人を取り囲む環境によって纏わり付く匂いもあって
清潔な石鹸やフレグランスの匂い
濃厚なパフュームの匂い
食べる、飲む物から発する匂いも
この物語を観ている間じゅう
私にもさまざまな匂いが感じられて
ごみごみした下町の匂い
温かい韓国料理、炸醤麺の匂い
パク社長のお庭の日向の匂い
そして
一家の暮らす半地下の少し淀んだ臭い
後半の、大雨からの洪水の描写では
ひたすらに溢れる下水の臭いがまるで本物のように鼻をつき
そこでの彼らの焦りや苛立ち
うまくいっていたはずの"計画"が
どうしてこうなってしまったのかという不安が
血の臭いとともに
置かれた環境から抜け出し
しあわせを掴みたい
誰もが願うことだけれど
能力があっても、なかなかうまくいかない
韓国だけのことではなく
日本を始め、世界の多くの国に当てはまること
笑ったり、ハラハラしたり、
切なくなったり、
感情が忙しい本作
この作品の発する匂い
これを感じ取れる自分でよかった
あなたはどんな匂いがするのでしょう？
私？
たぶん、ほぼ無臭なのだけれど。
気分を上げて
冬限定の"Winter berry"の香りで。
