新年はじめの映画は『パラサイト』に。
あああ…重たい余韻が引きづる作品だぁ。(褒めてる)
半地下に住む貧困層の一家が、長男の友人のツテをきっかけに大富豪一家の家庭教師、運転手、家政婦…とあの手この手で転がり込む。もともといた運転手や家政婦を追い出し、家族の幸福を第一に考え計画通り職を得ることの出来る一家。
しかし元家政婦が訪ねてきたところから物語は"計画"にない方向へと進んでしまう。
印象的だったのは、"半地下"とあって階段を使う演出が凄まじかったこと。
のちのちわかるけど、半地下であることが階段に色々な含みを持たせている要因になっている気がする。
例えば、『ジョーカー』での階段は1人の男がジョーカーとして覚醒するメーターのような印象を受けたんだけど、『パラサイト』では彼らの行く末を揺さぶる役割があるような気がします。
彼らは最初、振る舞いや外見といった表層的な部分さえクリアすれば自分たちも地上の人々になれるのではという期待を得るのだけれど、それはこの作品では否定されていってしまう。
特に臭いの表現がきついくらい地下家族に現実を突きつけてしまう。
けれど、この作品の重要な点は全員故意ではないところで展開が変わるところじゃないかと思う。悪気のない地上の人々の行動と計画していなかった行動を起こさざるを得なかった地下の人々の断絶が可視化されてしまう。
期待を持ったあとにそれをへし折られるのは辛い。そうして起きたことがクライマックスのシーンなのではないか。
悪気のない地上の人々の行動と地下の人々の行動のタイミングや歯車が嫌なほどぴったり合致してしまったことで起きたラストは、間接的に韓国の社会を描き、そして考えさせることになる。
犯人や悪人がちゃんといる作品よりもよっぽど怖くて、よっぽど重たい。
笑える余白から一転、あっというまに地下の家族たちと同じく急降下させられる。
これはすごい…。
