火星

パラサイト 半地下の家族の火星のレビュー・感想・評価

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
4.8
これはまた凄い映画が出てきましたよ。というかこの映画がきっかけに韓国映画にハマる人が増えそうで本当に嬉しい限りです。
内容や秘められたメッセージに関してはもちろん、何よりも凄いと思ったのはその撮影技法ですよ!モンタージュはわりと色んな映画で使われるけど、この映画はその使い方の自然さとこだわりが半端なかったです。ここまで情報量に対する言及を減らして、映画全体のテンポを保つ技術が邦画にあるかと言われたら、まだそんなレベルには到底及びそうにないですよね。韓国映画界は間違いなく世界を見据えてますよ。
もうひとつ良かったのは、『女王陛下のお気に入り』でも印象的だった広角レンズを使った技法ですよ。序盤しか使われなかったけど、半地下の一家を映す際に広角レンズを使って閉塞感を見事に表していたし、さらに、問題のお金持ち一家のお家に演技派弟くんが初めて足を踏み入れた瞬間に広角から普通の画角に切り替わるのは、普通じゃ気付かないレベルかもしれないけど、細かいなぁと素直に感心しました。

内容も本当に良く出来ていました。そうなんだよね。なにがトリガーになるかは分からないし、それをどういう形で発散するかも分からない。「計画性」というワードも印象的でした。今より計画的に生きることこそが貧困から抜け出す道筋なのに、貧困がその計画的な生き方を諦めさせる。富裕層が金融リテラシーを育んでより富み、逆に貧困層はリテラシーを獲得するチャンスを失いより貧しく。この世界の現実をどこまでも残酷に描いてますよ。

そういうのが本当に山盛り詰まってて見応え120万点です。
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