2020年 劇場鑑賞3本目
アカデミー賞獲る前から、同僚に絶対見た方が良いと薦められていた作品。
全力で楽しむ為に皆さんのレビューも読まないで過ごしたし、粗筋すら入れないで期待値MAXで観に行きました。
何だろう。
この気持ちをどう書いたらよいのか悩む作品。
ポン・ジュノの凄さは分かっている。
人間の汚さや業に踏み込む様は、ちょっと日本人には真似できない域。
本作は笑えるシーンも多く、エンターテインメントに寄ってつくられた作品…と思いきや、後半のえげつなさ凄かったです。
大雨からの、汚水の逆流や体育館への避難。そこで語られる「計画を立てなければ…」のくだりは、韓国だけでない世界中の資本主義社会の閉塞感と、実際にあと少しで弾けてしまいそうな不満を心に溜め込んでいるであろう多くの人達が具現化されており恐ろしい。
着るものもなく、救援物資から服を見繕って富豪の息子の誕生日パーティーの準備に駆り出されるが、自分達の家を押し流した昨日の雨が、楽しいサプライズを演出する為だったかのように語られる。
匂いが一線を超えさせる映画。
確かに凄かった。130分無駄な所は一切なかったし、引き込まれた。
けれど、ああいう結末にならなければならなかったのか。
あまりの後味の悪さに、どうしてこの作品がアジア初のアカデミー賞受賞作品となったのか考え込んでしまった。
アカデミー作品賞に選ばれると、社会に対するある種の責任が生まれてしまうと思うのです。
格差社会の問題点にフォーカスする為に、この映画は選ばれたのだろうか。
強い問題提起にはなっているが、その問題をどうにかしようという希望を一切打ち砕いて終わるラスト。
「金持ちだから、優しくなれる。」というのは、多分正しい。
「金は心のシワを伸ばすアイロン」も多分。
でもね、私はそうでない世界を、人々の強さと優しさを夢みたいのです。
うまく言葉にできないのですが、素直に呑み込むことのできない作品でした。