貧困と格差の問題に焦点を当てつつ、是枝監督の『万引き家族』の現実的な演出とは相反する、映画にしかできない表現によって興業的にも十分面白い作品になっていた。前述のことは『万引き家族』がフランスで、『パラサイト』がアメリカで多大な評価を受ける所以と言えると思う。後半の展開は祝祭の様相を呈していて最高だった。映画好きはスキップしながら映画館を後にしたことと思う。映画の構造としては『ゴーンガール』的な、聴衆の善悪の基準を揺さぶるようなものになっていて、終わってもなお何が悪かったのかわからない。むしろ、ここで起こることは全て社会に起因していることがありありと見せつけられる。主題たる貧困と格差の問題は日本を含む全世界的な問題。ことに本作では韓国社会での「半地下」の暮らしに着目することで韓国社会の光と闇の全体像を映し出している。
ところで、ソンガンホと元家政婦の女最後に近づくにつれめっちゃ顔腫れてなかった？超デカなってるやん！！思うて観てたけど、なんの伏線でもなくて"ただ顔が腫れてる人"だったのウケる
それはさておき、観劇後あらためてポンジュノ監督のオスカースピーチを見返したら、そのオタク的な言動と映画への愛、真摯な姿勢に心打たれてマジで泣いちゃったな…。
