空葉

パラサイト 半地下の家族の空葉のネタバレレビュー・内容・結末

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

想像していたよりも早いペースで一家の家庭侵入が進んでいくので、この後どうなっていくんだろう?とワクワクしました。
インディアンボーイ、めっちゃ可愛かったな……癒……
あの家族写真の横に飾られた絵は、チンパンジーでも自画像でもなく、あの『幽霊』なのかな。

キャンプに行った一家の家ではちゃめちゃに寛いでいるシーン、いやそんな散らかし放題…… 雨降ってるし帰ってきたらどうするんや……(奥さんも「帰ってきたらどうする?」って言ってるし完全にフリやろ……)と思っていたらほんとに帰ってきちゃったよ〜!!
大胆かくれんぼは「そうはならんやろ!」「なっとるやろがい!!!!!!」のパワーが凄かった……
テーブルの下にも、床にまだ散らかっているであろう破片や食べかすも、夫妻には見えていない(目を向けない)というのは、自分たちと違う世界(半地下の世界)は目に入らないということなのかなぁ。

元家政婦さんが戻ってきてから地下に行くまでのところが一番ドキドキしたかもしれない…
なにがあるのかな…と私が予想したのは、隠し財宝的なものでした。この後はそのお宝を巡っての争いになるのかな… とか。
地下で暮らす旦那さんに、主人公父が「よくこんなところで生きていけるな」というようなことを言っていたのが印象的。
ここで主人公父は地下旦那さんを「自分とは違う世界の人間」のようなものに見えたのかな…と思った。そしてそれは、社長夫妻が半地下の人間(=自分たち)に向ける視線と同じなのかもしれない。
「社長一家、半地下の一家、地下の夫妻」
という三層の上下関係のようなものに気付くことで、主人公と主人公父が自分たちと社長一家との貧富の差を改めて実感したのかな…
そんな中で、隠れたテーブルの下で聞いた「におい」の話。自分たちの生きる世界のにおいを非難されて、どう思ったんだろう…
ここからの主人公父は思い詰めたような表情をしたり、夫妻からの「一線を越えるな」「においがする」という意味合いを感じる言動に敏感に反応する気がしました。
パーティーも、招待客ではなくあくまで「仕事のひとつとして働いてもらう」という感じだったり、大雨で自分たち半地下の人間が大変なことになっていても、社長夫妻は良い点ばかりを見ている。

でも私は「雨が降ったからPM2.5もなくなったわね〜」とか言っている奥さん、好きなんだな……
雨のせいで家族のキャンプというイベントは台無しになっちゃったけど、いいこともあるよね!みたいな…前向きな感じが…
それはお金に余裕があるからの心の余裕であったり、お金があるから半地下の人々のような大変な思いをしなくてもいいという生活の余裕であったり…
主人公父はそういうのもあの場面から感じてたのかなぁ。

息子のためにインディアンの格好をして楽しませようとする社長さんも、好きなんだよな…… だから死んでしまったのが悲しかった……
大事な息子が倒れて早く運ばなきゃいけないってなったら、そりゃあ焦るし他の人のことなんて考えられないだろうよ… でも主人公父だって同じだろうな…
突き刺したナイフはいろんなものが溢れ出した結果なんだろうな…

ラスト、あの家に住むという主人公のビジョンが映って「なんでそんなに上手くいくんだ?しかも元々の家主を殺した家族にその家を売れるのか?」と思っていたら、未来の計画であり希望だったんだね……
計画を立てたところで上手くいかない、無計画がいい、と主人公父は言っていたけれど、彼らの未来はどうなるのだろう。
そして私はインディアンボーイのダソン君が無事なのかも気になります……

元家政婦さんが「ふたり分食べる」と言われていたり、下から這い上がるような画面だったり、窓から見下ろしたり…
もう一度観たら新たな発見がありそうで、ドキドキするな…
空葉

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