たわらさん

パラサイト 半地下の家族のたわらさんのレビュー・感想・評価

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
5.0
本作で描かれているのは3つの層による社会であり、それぞれの層は交わることは無い。とある富裕層は他の層を見向きもせず、酷い匂いと揶揄する。また交わるとしたら、ある下位層と ある最下層が富を得ようと争い蹴落としあうときである。その中でもギジョンは希望になり得た。彼女は能力もありながら、地下に目を向けていた唯一の存在である。格差を隔てなく架け橋になれる希望を失ってはいけません。

それぞれの小道具や台詞、シーンとディテールが細く、観る度に発見がある。これほどの社会的テーマを扱いながらも、斜め上をゆく展開やコメディ要素も担保されている娯楽性には感心する。間違いない傑作である。

以下、気になった点。

✔️演出
テーブルの下に隠れているキム家に気づかないのは、下(下級階級)に目を向けない意図が含まれている。作中全体を通して、ふんだんに使われている高さを使った空間的演出は見事である。

✔️下位層(半地下)と最下層(本地下)の差
何かを得るには→努力/富のエキス
生き方→計画的/無計画or寄生-流されて生きる
本作で最下層に当たるのは二人のみ。

✔️富裕層と下位層の差
家族観の欠如。食事シーンの団欒などが対比として描かれていました。ダソンとダヘは愛を求めており、ダソンは元家政婦とギジョン、ダヘは新旧家庭教師が親代わり(穴埋め)でした。

✔️ダソン
臭いの染み付いた家に入りたくないダソンは正直であり残酷ですよね。また、匂いに敏感なダソンがギジョンと接触しても問題無かったのは、ギジョンには半地下の臭いは薄かったのかもしれません。

✔️格差は無くならないという仮定
自分がいる場所から抜け出すことは難しいと捉えられる描写は少なからず存在します。では、どうすればいいのか。彼らは半地下ながら確かな幸せを享受していました。比較することで自分を追い込み、罪を犯してしまったのです。この比較は貧富に限ったことではありません。
たわらさん

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