たわらさんさんの映画レビュー・感想・評価

たわらさん

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⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

4.3

どこか懐かしささえ感じる露悪要素のオンパレードではあるのだが、舞台設定が上手く活きており、今では珍しくなった上質なホラーアニメ作品になっている。水木がド聖人というわけではなく、欲や建前が表れた人間であ>>続きを読む

アフター・ヤン(2021年製作の映画)

3.6

人型AIが当たり前になった少し未来の話。AIにとっての死は訪れるのだろうか、記憶を辿って過去と未来を行き来することが可能だ。AIを通して今を生きることと人の無情さも表れていく。

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.8

日本のゴジラは『シン・ゴジラ』というハードルがありつつも、マスコットではない畏怖の対象としてのゴジラを再び作り上げた。ゴジラ映画というより戦争映画の1ファクターとしてゴジラを起用して、初代ゴジラと同じ>>続きを読む

わたしは最悪。(2021年製作の映画)

3.9

子供と大人の境界線が徐々に曖昧になりつつなる情報化社会にて、自由でありたいとする。合理性より刹那的な感情を優先することは後に後悔へと変換されてしまうのだが、その時に選んだ道は確固たるものであったはずだ>>続きを読む

バービー(2023年製作の映画)

3.9

寄りすぎた権力構造の危険性について問いつつ、ジェンダー作品の中では一歩先に進んだ作品とも思える。他者評価ではなく自分で価値を見つめ直していくことにより多様性が切り拓けることに示唆されているが、作中での>>続きを読む

劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦(2024年製作の映画)

4.0

スポーツアニメ映画は『スラムダンク』の以前と以後で別れるだろう。アニメシリーズでは高速のボール移動で必殺技のような印象を受けたが、本作ではスラダンのようなリアルなボールの浮遊感や人物の速度感が意識され>>続きを読む

ハイキュー!! 才能とセンス(2017年製作の映画)

-

尺の割にはキャラ深掘りややり取りの面白みに欠けた合宿編だったが、総集編では烏野の練習描写だけを描いて密度の濃いものになっている。青春部活もの特有の"持つ者"と"持たざる者"に焦点をあてているのが印象的>>続きを読む

Winny(2023年製作の映画)

4.4

出る杭は打たれる、レールを外れたものは腫れ物にするといった日本の持つ同調圧力や集団主義が産んでしまった悲劇。景気や組織の複雑な入り組みや事情があれど、青色ダイオードの一件や近年のアニメーター問題など技>>続きを読む

グランツーリスモ(2023年製作の映画)

3.8

初代ワイスピを彷彿とさせるようなシンプルなカーレースもので、疾走感のあるカーアクションと響き渡るモーター音による没入感は凄まじい。物語は至ってシンプルであったので、ゲーム要素や企画発案者のダニーの思惑>>続きを読む

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

4.3

細目関西弁の綾野剛にニンマリとした「カラオケ行こ」と言わせただけで企画が成功していると思います。中学生男児の失言でヒヤヒヤさせるのも上手く、緊張と緩和が完璧なお手本のようなシチュエーションコメディ。小>>続きを読む

かがみの孤城(2022年製作の映画)

3.0

本屋大賞で話題になっていたな、という記憶でしたが、自分は対象の視聴者層ではなさそう。解決法も対症療法でしかないですし、事象に対する一面しか見れなかったのは残念。時間トリックとかもそうですが、そうなるか>>続きを読む

ラブライブ!サンシャイン!!The School Idol Movie Over the Rainbow(2019年製作の映画)

3.3

アニメシリーズで完結していた物語を無理やり引き伸ばすため、行き当たりばったりの構成で一貫性がない。無理に展開を作るためか、3年生がいないだけでへたるグループで今までの困難はなんだったのだろうか。Sai>>続きを読む

市子(2023年製作の映画)

3.6

幼少期・市子の道徳性に欠けている様子から、まともの大人が近くにいないことであったり彼女の環境が窺える。前年に話題になった『ある男』を彷彿とさせる名無しミステリーなのだが、彼女の解像度を上げていくと無戸>>続きを読む

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

3.9

鬱々しくなく、コメディに振り切っており終始カラッとした人種差別もの。ゆえに潜在的に存在する差別意識を炙り出されるようで、意識をするのは大事である。ただ意識すること自体が分別の加害性を有しておるため、こ>>続きを読む

正欲(2023年製作の映画)

4.0

明日に対しての期待がないからこそ、その人と今後関わりを持たないと断ち切る勢いで強い言葉で返してしまうし、破滅的行動を取ってしまう。誰も理解者がいない、同じ言語を話せる人がいないんじゃないか、という自分>>続きを読む

うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー(1984年製作の映画)

3.9

うる星やつらを知らなくても、ビューティフルドリーマーはうっすらと内容とテーマ性が一人歩きしている。アニメーションは被写体を中心に背景を構築するのが基本であるのだが、押井作品は被写体は二の次で画面全体を>>続きを読む

十二人の怒れる男(1957年製作の映画)

4.4

有罪派も何も根拠がなく主張をしているのではなく、誤審をしてしまった時の恐れや、各々の生い立ちや考えに基づいて発言をしているため、とても血が通っている。ターン制による会話ではなく、この人物ならこういった>>続きを読む

ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)

4.4

能力全開の救出劇→バリーの現状→生い立ち→決断→Wバリーのバディものと簡潔的にテンポよく展開する心地よさ。大衆映画らしく映像の楽しさとコミカルさもしっかり抑えており、近年の設定が複雑化したヒーロー映画>>続きを読む

ある男(2022年製作の映画)

4.3

ある男として個をたらしめてるのは名前を筆頭に外付けの情報の集積によるものである。そこから他者は憶測を立てて、その人を理解した気でいよう無意識な加害性。我々もコミュニティや媒体によって個を使い分けており>>続きを読む

パレード(2024年製作の映画)

2.8

金曜ロードショーで流すとそれなりに評判良さそうな映画です。藤井監督って公式を使うのが上手い人だと思うんですよね。今回は災害×死後×感動×ニューシネ要素で作ろうとして、何も引っ掛かりのないつぎはぎの浅い>>続きを読む

still dark(2019年製作の映画)

4.4

我々には計り知れないほどの苦労を重ねていることでしょう。だからといって、料理長は特別視することなく一人のコックとして評価しようとする。何故ならお客が存在するし、ユウキが感銘を受けたナポリタンを作るため>>続きを読む

こちらあみ子(2022年製作の映画)

3.9

周囲の反応は過剰なものに見えてしまうが、いざあみ子を対面すると導ける人になれるのであろうか。あみ子かつ本作自体に嫌悪感を抱いてしまう自分がいて、心の狭さを映し出せれているようだ。

黄龍の村(2021年製作の映画)

3.3

先代のホラー作品やタランティーノ作品を阪元監督なりに仕上げたのだが、後半部分はいつもの阪本作品なので前半部分の俗な人間描写をもっと観たかったかな。安っぽさが否めないですが、自主映画部門だったら首位は取>>続きを読む

攻殻機動隊ARISE border:1 Ghost Pain(2013年製作の映画)

2.9

9課結束までの前日譚というどう考えても美味しくなる食材に調味料をかけまくって生まれた変な料理。AKIRAや攻殻、ガンダムが好きなんだろうなぁ、と感じられるが、それはただのファンアートであり『ARISE>>続きを読む

そばかす(2022年製作の映画)

4.1

世界のズレを描きつつも、佳純自身の諸々の対応に配慮が欠けている(脚本の都合なのかは不明)様があり世界のちぐはぐさが垣間見えるのが良い。悲観的であった佳純が最後にトム走りをするラストは洒落ている。大きな>>続きを読む

アミューズメント・パーク(1973年製作の映画)

3.5

物語とキャラが雑すぎるが、魂が宿ってない人の怖さといったら。冒頭と締めの語りかけもあざとくて好みではないかな。

カッコーの巣の上で(1975年製作の映画)

3.8

一方が善、一方が悪としない作りに感心する。前半は掴みどころのない展開が続くが、チーフのアイデンティティを取り戻すため段階的に尊厳を解いていく。

劇場版 ポールプリンセス!!(2023年製作の映画)

4.3

アニメーションだからこそ可能にした世界レベルのポールダンスCGと歌唱のミックスに麗々しい演出でただただ圧倒される後半。ポールダンスは従来のダンスに加えて上下の移動があるため、アングルの幅や躍動感の緩急>>続きを読む

ヨーヨー(1965年製作の映画)

3.8

音が無いからこそ画で見せないといけない。映画作りの変遷と時代の切り取りを連動させて、何処となく前半の方が惹かれていました。ここ数年でもテレビのラジオ化、精密なAI画像、心理描写を台詞に落とし込ませた作>>続きを読む

映画 けいおん!(2011年製作の映画)

3.8

アニメシリーズの延長線上、特段映画にするほどでもないがファンムービーとして喜ばれるのだろう。ユーフォの北宇治カルテットとか高校卒業後に連絡を取り合わなそうですが、HTTからはグルーヴ感が伝わりますし、>>続きを読む

アンダーグラウンド(1995年製作の映画)

4.0

こんな悲劇、笑うしかない。旧ユーゴスラビアの激動の50年を圧倒的な画力かつ喜劇風刺で描く。チャップリンテイストを感じさせて、賑やかなのにどこか哀愁が漂い、幻想的な作品でもあります。

グリーンバレット(2022年製作の映画)

4.2

国岡の未熟な指導者っぷりや、嫌なやつの解像度が異様に高い。生徒たちの演技は拙いですが、全体を通してその粗とツッコミが噛み合っていたと思います。話が通じてなかったり、啓発本を抱えている板尾さんの使い方と>>続きを読む

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