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イソップの思うツボのEDDIEのレビュー・感想・評価

イソップの思うツボ(2019年製作の映画)
3.1
巧みにミスリードを誘う演出はさすが“カメ止め”の上田慎一郎監督と唸らされたが、後半のネタばらしでやや拍子抜け。作品としては面白いが、過度な期待は禁物。

さて、本作は「カメラを止めるな!」で一世を風靡した上田監督が、浅沼直也、中泉裕矢と3名で共同監督という形で約3年の歳月をかけて形にした作品です。
もちろん売り出し方として「あのカメ止めの上田監督!」とか使うのは仕方ないと思いますし、世間は確実に比較してしまうのは避けられない運命なのかなと。
それでも“カメ止めはカメ止め”の精神で、あくまでフラットに作品を観ることを意識しました。本作は「イソップの思うツボ」という全く別の作品だと。
もちろん上田監督自ら脚本を手掛けており、“カメ止め”でも唸らせた裏の裏をかくような演出はお見事だと思いました。

ただただネタばらしが始まるあたりから非常に退屈。つまりは“カメ止め”と真逆の効果となってしまったんですね。
これはひとえに作品を観進めるにあたり、先がなんとなく読めてしまうのがきつかったなぁと。
もちろん中身を書いてしまうとネタバレになってしまうので書きませんが、本作に登場する3つの家族。それぞれが事件に巻き込まれていくんですが、途中構成の作り方が原因なのかわかりませんが、読めてしまうし、しかも途轍もなくチープに映ってしまった。そこが大きなマイナスポイントでした。

とはいえ、この3.1というスコアにしたのは、私の基準でいう「まぁまぁ」に当たります。決して面白くなくはないんです。
ただ惜しいなぁと。

物語の根幹である亀と兎と戌の三つ巴構成。これ戌いるか?って具合に存在感が薄いんですよ。これはキャラクターの存在感が薄いのではなく、キャラとしての必要性という部分です。
一つのインディーズ映画としては良く出来ているし、正直様々な酷評も見ましたが、そこまで悪いとは思いません。
TOHOシネマズとか大型劇場ではなく、やはりミニシアター系で攻めた方がまだ良かったのかなと。それだけファンの期待値は上がりますから。決して悪くはないのに、大衆映画館で公開されたがために予想以上の酷評で上田監督に対する世間の評価が落ちてしまうんじゃないかなと、誰目線だって話ですけどやや心配してしまいました。

一方で、本作の収穫としてはヒロインの(と言っていいのかはわかりませんが)兎草香織を演じた井桁弘恵がめちゃんこ可愛かったことです!この人ゼクシィのCMとかに出てた子なんですね。今後のさらなる活躍に注目です。
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