くろさわ

新感染半島 ファイナル・ステージのくろさわのレビュー・感想・評価

3.8
アクション映画としては素晴らしかったが、新感染半島の続編としてはどこか物足りない。

Last of usとマッドマックスを組み合わせたような印象を受けた映画。

前作「新感染 ファイナル・エクスプレス」の突如、韓国内で発生したウイルス感染から電車で逃げる物語の4年後の世界。

韓国中に蔓延したウイルスはその他の地域に広がらないように完全に隔離され、近くことさえ許されない世界となった。

そんな中、主人公のジョンソクはウイルス蔓延されている韓国のある場所に大金があること知らされ、それを命懸けで取りに行く仕事を受けさせられた。
ウイルスによって死んだはずの街だったが、そこには何故か生きている人間も存在していた。
ジョンソクは凶暴化したウイルス感染者まみれの世界の中、生きて帰ることができるのか・・・。


前作より全ての要素がアップデートされており、ゾンビ映画の次元を超えていると感じさせられる。しかし、アップデートされたことにより前作で良かった部分が少し失われてしまったという印象も受けた。

前作の「新感染 ファイナル・エクスプレス」では電車という逃げる場所がないという密閉された空間でウイルス感染者から逃げるという緊迫した緊張感。そして、電車が駅にまで着くまで逃げ切ると言う目的が具体的に決まっていたため、物語がシンプルで引き込まれてしまう内容だった。

それに比べて今作では、ウイルスが蔓延している街という大きな環境が舞台となり、目的も半島から脱出するという少し曖昧になっていたためか、前作よりも舞台やアクション、感染者の数など格段とアップデートされていた分、緊張感がなくなっており、ただのアクション映画という印象を受けた。


個人的にはもの足りない感じた2つの要素がある。 
一つ目はストーリーについて。
ストーリーに関しては、前作の続編として生き残った人物がどうなっているのかという期待してみると人物が変わっており、少しガッカリさせられる。
続編というより、スピンオフの印象。

2つ目はウイルス感染者の存続。
ウイルス感染者に関しては背景化している気がした。カーアクションが派手なせいか、カーアクションを盛り上げるための材料としか感じなかった。
そのせいか、殺されるという本来の怖さが失われている気がした。


結論、映画としてはカーアクションの素晴らしさ、映像の迫力、伏線の貼り方、回収仕方などまとまり過ぎているほど素晴らしいエンタメ映画なんだけど、新感染半島の続編としては少し楽しみきれなかったかな。

でも、十分おもしろいよ。