たくみ

新感染半島 ファイナル・ステージのたくみのレビュー・感想・評価

3.6
【私たちがいた世界も悪くなかったです】
『新感染』の続編。全く別物なのでこれから観ても大丈夫です。

まず前作良かった点として、
①電車というクローズドな状況でゾンビから逃げる緊迫感
②生き残るための愛する人の取捨選択
というポイントがあったかと思います。

果たして今作はこの2点どうなっているのか。
結論から言うと上記の良さは無かったです。
前作よりも圧倒的にアクション全振りなので、①の要素はないです。
なんなら前作とは真逆の事してやろうくらいに思ってそうです。
カーアクションがメインとなっており、如何に頭文字Dの精神を降ろしてくるかがカギになっていました。

②に関しても真逆の事を描いているように感じました。
主人公は序盤に見捨てる選択をします。
そのモヤモヤを抱えた主人公がラストどういう選択を取るのか、が描かれます。
なので主人公は助ける人の取捨選択よりも、いかに全員を救うかに重きを置いた行動をとります。

なので、前作の良さを求めて鑑賞すると肩透かしくらうかもしれません。

また、前作との違いで言うと、”VSゾンビ”ではなく”VS人”でした。
それぞれの思惑があり、人間の汚い一面が映し出されます。
韓国の映画は意地汚いやつが必ず出てくるので僕は苦手なのですが今作もやはり出てきましたね。
ファン軍曹が良い味だしてました。
北斗の拳で「アベシッ」って言って即死しそうな見た目なのに案外しぶとい。
主人公たちにゾンビが襲い掛かるように仕向けたりとにかく嫌な奴。
最後もっと残酷にいってもらっても良かったんですけどね。

もう一つの軸としてソ大尉という人物も絡んできます。
こやつはサバイバルキャンプでどういった立ち位置の人間だったかわからず、感情移入しづらかったです。
主人公の前に立ち塞がる舞台装置で終わってしまっていて少し残念でした。

アクションは前作よりアグレッシブになっており楽しめましたが、CGに頼り過ぎてる感は否めないです。
車が最強すぎて、そのスピードで角曲がれるのか?とか、そのスピードで人を踏みつけた場合にそんなに加速できるの?とか、リアリティがあまり感じられなかったです。
なのでゾンビとの対戦に於いてはハラハラ感はないです。
こちらもソ大尉と同じく舞台装置で終わってしまっている感じでした。

とはいえ、ゾンビの造形はさすがでした。
『アイアムアヒーロー』みたいに突然変異体みたいなゾンビいれば面白くなったかもと妄想しちゃいました。

前作と全く別物として鑑賞すればそれなりに楽しめると思います。
K-ZOMBIEはやっぱり良いですね、今後もたまには接種しようと思います。

【その他メモ・独り言】
・明らかに最後まで生き残らなさそうなファーストパーティー
・ファン軍曹、BLへの理解はある。
たくみ

たくみ