つのつの

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ 完全版のつのつののネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

ノスタルジーの罠。
過去に意識を向けるうちに、遡行的に「思い出」が作られていく。序盤の演出が秀逸で、時間の境が曖昧な編集が観客を回想に引き込むのだが、それはヌードルスが語る物語の一つに過ぎない。
ヌードルスにとって、自分は裏切りと友情に引き裂かれた悲劇の主人公。
ヌードルスとマックスのホモソーシャルな友情は、ヌードルスの裏切りによって完成する。
キャロルに「二人で刑務所に入ればいいのに」と提案されてもヌードルスが受け入れられないのは、マックスを密告するという友情の重さに抗えないから。(この点、裏切るギャングが大量に登場するスコセッシの映画が全くと言っていいほど友情を描かないのも面白い。)
裏切った人物と再会することは、友情の完成の終わりを意味し、それは同時に自分が裏切られた人間だったことを知ることでもある。
部屋の奥からこちらを振り向くあの人物は、かつての「仲間」とは似ても似つかない痩せ衰えた髑髏に見える。
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