せきとば

ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビューのせきとばのレビュー・感想・評価

3.4
いっとき(今も?)流行った「引きこもりでも〇〇」「ヤクザだけど〇〇」「中二病でも〇〇」のような『でもどけど』構文が物凄く苦手だ。

『でも』や『だけど』がついた瞬間にそれそのものではなく述語を強調するための前提が主語に与えられてしまうからだ。

つまり物事に奥行きを与えて、それを立体的な『物語』とするために効果的な反面、不用意にこの前提に押し込めてしまうと、かえって物事を削ぎ落としてしまったり、自然に持っていた風格をあたかもこちらが与えてやったような時間軸をなすりつけてしまう。

本来、ソレがソレである為に一体誰の許可が必要なのだろう。述語を強調するためだけに主語の惨めさを際立たせるなんて実は全然いらないエネルギーだ。

どんな人間がどんな生き方をしようと根底が尊重される世界であってほしい。我々はライヴをするし、クッキーも焼くし、一丁前に恋もする。君が君でいるだけで、本当はどんなことでもできるのだ。

「ブックスマート」しかり、「ぼくらは”テルマ&ルイーズ”」しかり、このような良作映画たちは僕にそういったあるべき自然体を教えてくれている。
せきとば

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