山田

罪の声の山田のネタバレレビュー・内容・結末

罪の声(2020年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

2時間半近い作品だったのに最後まで集中して観ることができた。
知らぬ間に自分の声が犯罪に使われてしまった曽根と、英語が喋れるって理由だけで時効になった過去の事件について調べる事になった新聞記者の阿久津が双方から事件の真相に迫っていくので面白かった。
結構スムーズに点と点が繋がっていくのでスッキリした。

曽根達雄が熱く語っていたけど罪悪感や躊躇はなかったのかと思った。子どもたちを巻き込んだ事に対しても罪の意識があまりに薄くて「逃がしてあげた事」で彼は彼の役割は果たしたと思っていた。
曽根のお母さんも、なんであのテープと手帳を捨てられずにいたんだろうか。彼女の中でも焚き付けられたものが大きく、正義であったからなのか。
主犯たちよりも声を使われた子どもたちの方が罪を背負い、人生を大きく狂わされていて腹がたった。

もし曽根が自分の声が入ったテープを見つけて事件の真相を探し出さなければ、自分の抱えたひみつを阿久津に話すと決断しなければ総一郎さんはお母さんにも会えずに秘密を抱えたままひとりで命を絶っていたかもしれないと思ったら、過去の事件を洗ってもらえたことは良かったのかもしれない。

実際の事件でも子どもの声を使った脅迫がなされていたそうで心が痛んだ。その子たちが曽根のように事実を知らず、今後も知る事なく幸せに暮らせていたらいいなと思いつつも、おそらくは肉親が声を撮ったのではと考えたらその罪の行き場になんとも複雑な気持ちになった。
山田

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