おはうち

悪人伝のおはうちのレビュー・感想・評価

悪人伝(2018年製作の映画)
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熊の体格を有するマ・ドンソク主演映画で考えるのが上手い。ナイフで刺しに行くサイコパスは弱者や女性を狙うんだからマ・ドンソクを襲うなんてあり得ないでしょっつー誰もが思うツッコミ所から逆算して、熊と変わらない男までも襲うほどクレイジーな犯人に仕立て上げていて見事。

犯人が立て篭もった場所にマ・ドンソクが文字通り突撃する手段が凄い、斜め上を行く突撃でした。突撃後すぐマウントを取って殴るのも、ドア越しに拳が突き抜けるのも凄い凄い。

犯人の人相書きで目の眼光を観客に擦り込ませて、葬式場での目線が合うのかどうかギリギリの間合いで居合させるのが面白い。犯人の人相書きと写真を真っ二つに折って合わせて一致してからテンションが上がる。顔にまつわる描写が多い中で、やっぱりラストの顔面でしょう、素晴らしい。

証拠の車がビニールのカーテンで囲まれている状況でのアクションシーンはシナリオの高まりもあって面白い。ビニールカーテンいいよね。

ちょっぴり優しいマ・ドンソクを表現するため、自分の傘を女子校生に渡す描写から、さり気なく相合傘に持っていくのはBL的に美味しかったですね。この思考パターンは『私がモテてどうすんだ』の影響。そして、傘を貰った女子を見送った後の顛末などシナリオが何気なく連結している。

振り返るとマ・ドンソクが犯人をぶちのめす展開が多いためラストカットには興奮するんだけど、何回もやりあってるよなぁ。 2人っきりっつーシチュエーションもカラオケボックスから引きずり出した後にも用意されているしね。

飯食いながら文句垂れる幹部を平手打ちすれば黙るが、犯人を捕まえて平手打ちにしてもヘラヘラする落差。打算的に格を上げる殺人鬼のキム・ソンギュさん凄いよね。
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