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フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊のAPlaceInTheSunのレビュー・感想・評価

4.3

雑誌カルチャーへの偏愛、フランスカルチャーへの敬愛を、ウェスアンダーソン印の美的感覚でもって表現。
もっと言えば大好きな雑誌・誌面を映画でそのまま落とし込んだような作品。

雑誌というその名の通り雑多な事柄を扱っている。専門誌じゃなく総合誌。紙面 誌面。
雑誌だから、どこから読んでもいい。どの順番で読んでもいい。
毎週楽しみにしてるコラムからでもいいし、
最新の話題をフューチャーした特集からでも、
スターをカッコよく撮ったグラビアページでも、
編集部の近況がわかる編集後記でも。
雑誌だからモノクロ頁もあればカラー頁もあるし、活字も漫画もあってよし。そんな作品。

今回自分は、あまり知らない海外の雑誌を背伸びして読んだ感覚。
書店で素敵な雑誌を手に取りパラパラめくるような映画。作品中に込められた情報量は多すぎて全部飲み込もうとしても無理。消化不良になる。
グラビア頁観て、レア・セドゥの身体綺麗〜!みたいな。そんなんで良いと思う。今回のティモシー・シャラメめちゃカッコいいとか、
横移動するカメラサイコーに快感!とか
(雑誌なんでどんなきっかけで手にとってもいい。寧ろ予習して雑誌読む人もあんまいないんで、予習なしに本作を鑑賞した(という言い訳w))。

ウェスアンダーソン印の洗練された絵画的なカット、
彼の作品に出演したいと集まった豪華俳優陣が見事に作品のピースに成り切っている点も素晴らしい。
それは勿論として、作品全体で、社会を変えるための大きなメッセージが有るとか、ラストにビックリするような大オチがあるとかそんな映画じゃなく、寧ろそういった事を作品の魅力にする作りてへのアンチテーゼとも取れる。

雑誌文化と、もう一方のフランス文化についてはあまり詳しくないので、
もっとジャック・タチやヌーヴェルヴァーグの作品群を沢山観てから、
ふと雑誌を手にとるようにまたこの映画を見直してみたい。

完全に蛇足だけど「ガガーリン」でも素晴らしい存在感を放ってた
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