ロボットマン

フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊のロボットマンのレビュー・感想・評価

4.0
2022-135
架空の雑誌「フレンチ・ディスパッチ」の編集長が急死、彼の遺言によって急遽廃刊が決まった最終号に掲載されたいくつかの記事。
という体でオムニバス形式で描かれる映像集。
ウェス・アンダーソンと言われなくてもウェス・アンダーソン作品と分かる、どこを切り取っても絵になる映画。
画面比率が何故かは分からないけど基本的には4:3で、それに合わせた構図や部屋の間取りや背景が可愛らしい。字幕すらお洒落。
映画自体はこの雑誌の終わりだけを描いたものなのに、何故だかこの雑誌と編集者たちの歴史を感じる。
難解に感じる人が多いようだけど、実際それほど難しい映画なわけではなく、癖のあるストーリー、記事になる出来事を描いた場面とソレをライターが記事にしている場面などが切り替わったり、わざと情報量を多くして視聴者を置いてけぼりにするシーンがあったりするのでそう感じる人が多いのかもしれない。とここまで書いて、それをみんな難解と言ってるのか…と一人で納得する。
ウェス・アンダーソン作品は大好きなのだけどストーリーが特別面白いと思ったことはなく、随所にある違和感を感じさせる演出や独特な空気感の登場人物たち、それと何と言ってもお洒落な映像、これらが織り成す自分の住む世界によく似ているけどどこか違う別の世界線での出来事を垣間見ている感覚が心地良い。