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フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊のbennoのレビュー・感想・評価

4.4
実写のウェス・アンダーソン監督作品は初鑑賞です…。

監督流のコミカルで且つ、実にシュール、クスクスっと笑えるフランス奇譚です…。

第一印象は…定期購読する程大好きだった雑誌『THE NEW YORKER』そのもの…!!

当時、雑誌の表紙やイラストは特に愉しみで、カラーやモノクロページ…そしてそれらのレイアウトも眺めているだけでワクワク!! …今作は、まさに映像化された雑誌…ページを捲る愉しさを思い出します…。

ミッシェル・ドラクロアのリトグラフのように細かいところまで丁寧に可愛らしく愉しい…ビビット感を抑え、マットに仕上げた色彩はとても好みです…。



1925年創刊の架空の別冊雑誌『ザ・フレンチ・ディスパッチ』…創刊者で編集長のアーサー(ビル・マーレイ)が急死…彼の遺言により雑誌は廃刊になります…。

編集中の雑誌に1つのレポート(エピローグ)と3つのストーリーが追悼号として掲載されることに…。

とにかくキャストが豪華…。

ストーリー1では、なんてアーティスティックなレア・セドゥの裸体…殺人罪の画家とモデルの看守…芸術紹介のエピソードです…画家と美術商の絵画購入の交渉シーンが笑えます…。

忘れてはならないティルダ様…作品ごとの化け方が天晴れ…メイクはもちろん前歯も作り物!? 彼女がいるだけで場が締まります…一挙手一投足がカッコいい…。


ストーリー2では、ワイルドなティミー…”I feel shy about my new muscle.” (筋肉が恥ずかしい)は名言!? 学生運動のリーダーと彼に恋する女性活動家、それを取材する記者…愛憎渦巻くロマンスのエピソード…。

女性活動家のファッションが可愛い…プリーツのミニスカに革のブルゾン、そしてゴーグル付きの半ヘル…どことなくアンナ・カリーナ…何気に大好きなヴァルツがちょい役で出てます…贅沢!!


ストーリー3では、美食家の警察署長の息子ジジが誘拐…お抱えシェフが巻き込まれるアクション、ドタバタコメディ…ユーモラスなアニメーションも楽しめます…今作のイラストレーターは全てスペインのハビ・アスナレス…ここではエドワード・ノートンの役どころが見もの…デフォーも出てます…。

ショーガール役シアーシャ・ローナンのあまりにも美しい青い瞳が脳裏に焼き付く演出も素敵…。


どの画面も一分の隙もない程、入念に作り込まれ、シンメトリーの多用も観ていて美しく心地いい…また、様々なスクリーンサイズに変化したりスプリットしたり…映像を追いかけるだけでも至福の思いに浸れます…そして劇伴も絶妙…。

最後の『捕足』で物語全てを帰着させているのは見事…。

ただ、情報過多…出来るなら雑誌のように手元に置いて何度も吟味したい作品です…。


気づけば…雑誌を読まなくなったなぁ〰︎っს


thanks to; JTK 師匠ꕀ 𖠳 ᐝ

thanks to; Takayuki さ〰︎んꕀ 𖠳 ᐝ
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