KEKEKE

フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊のKEKEKEのレビュー・感想・評価

2.0
- もうそれはそれは気持ちいいくらいのスノビズム礼賛!でも映画ってそれでいいよな、多分......それでいいんだけど......
- もやもやはしながらも、結局レアセドゥやティモシーシャラメを見てなんて美しいんだと脳みその奥が自律的に反応してしまう、悔しい
- だって流石にキャストが豪華すぎる
- 圧で黙らせにくる
- 世界はこんなに華やかで美しくないから、だから映画を観てる節はある
- 文化とそれを支えるメディアへのリスペクトが迸る作品

- この人の映画、それ自体がテーマではないんだけど、作り手の富〜!豊かさ〜!って感じがビンビン伝わってくる
- たぶん裕福で文化資本が高くて気の利いたことも言えたりなんかして、なんだかんだでみんなに好かれてる、そんな「豊」の権化みたいな人が作った映画なんだろうなあと思った
- 今作でそれがプラスに働いていたか否かと考えると果たしてどうだろう

- でもこれは嫌味ではなく心から、2500万ドルの制作費を最も有効に使えてると思う
- 画面の華やかさ、色彩のマジックは起伏に乏しいストーリーをよりドラマチックにハイセンスに魅せてくれる
- 街とセットの融合が素晴らしく、境界線がぼやけて架空の都市としてのリアリティがすごい

- んー?でも、観終わった直後はまあまあ面白かった、って思ってたはずなのに作品について考えれば考えるほどなんかムカついてきたな
- 思い返せばブダペストホテルもこの作品も、この人が描く苦悩は富める者の苦悩ばかり
- 移民やゲイとかマイノリティも一応副菜みたいに添えられてるんだけど、前者に比べて圧倒的にリアリティが欠如してる
- ブダペストは仕掛け絵本的な入れ子感が好きだった、今作はテーマが雑誌だからよりその雰囲気がマッチするんじゃないかと思ったけど、強調された画面の奥行きとは裏腹にストーリはむしろ平面的になっていた

- シンメトリー、整った造形、計算された色彩、美男美女、これを純粋に「良いもの」として受け取って良いんだっけ?
- そうじゃないからアートが存在しているんじゃなかったっけ?
- 妬み嫉み、コンプレックスがどんどん掻き立てられる、コワイコワイ
- これって実家でテレビを観てる時の感情に近い
- 親がテレビを観ながら言っていた、だれがかわいいかっこいい、こいつは不細工で性格が悪そう、的なそう言う類の偏執病ともいえるルッキズムって、そういえば自分が最も不愉快だと感じ忌み嫌うものだった
- それが嫌でテレビ持ってないのに、なんでこんな気持ちにならなきゃいけないんだ
- 美しさを追求することは醜いものを描かないこととはかけ離れていると思う、それがあからさますぎてなんか疲れちゃった
- まあ凸凹の現実を平坦に慣らして表面的な部分を楽しもうって、まさに「雑誌」なのかもしれない

- 迸る文化へのリスペクトとともにウェスアンダーソンの美的価値観の表出でもある映画、賛否は分かれそう
- でもこの作品が視覚芸術として優れているのは間違いないからなあ...
- 買っちゃったよ、アマプラで500円だったから...
- デートムービーには最適やね
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