のんぴ

思い、思われ、ふり、ふられののんぴのレビュー・感想・評価

3.3
「ー 誰かを思い、誰かに思われ、誰かをふり、誰かにふられる ー」
そんな恋愛のはじめの一歩を踏み出そうともがく、高校生4人の物語。

よくある青春ピュアラブストーリーかと思いきや、家族との向き合い方や将来の夢への葛藤など、誰しもが経験する子どもから大人への過渡期を描いている。恋愛においても、家族関係においても、結局は自分の思いを胸の内に留めていては相手に伝わらない。「ふられるに決まっている」「受け入れてもらえるわけがない」そう思っても、「やらない」と「できない」は違うから。素直にならないのは、自分が傷つくことから逃げている証拠。言語化して自分自身と相手に正面から向き合うことで、結果がどうであれ、新しい道が拓けるかもしれない。
4人の高校生は、悩んでぶつかって泣いて、もう一度奮い立って、前に進んだ。その10代の等身大の姿に、懐かしさを感じつつ、眩しくて少しキュッと苦くて、爽やかな刺激をもらう作品だった。

無邪気で何処か空元気で大人びた女の子がピッタリの浜辺美波。"王子様"のビジュアルながら無機質を体現していた北村匠海。弱点から武器へと変わる素直さが滲み出た福本莉子。優しさゆえに痛々しさが際立つ赤楚衛二。それぞれの若手俳優の演技がくどくなく、映画全体の温度感に心地よく融和していて、終始ストレスフリーで見られた。
心情がナレーションされるため、見る者にストレートに伝わってくる。学校の屋上、文化祭のシーンなど、まさに青春の一場面を切り取ったような情景は、主題歌にもマッチしている。

学園ものに軽く触れたい人におすすめ。
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