戦争ホラー縛り 第十二弾
(全二十一弾+番外一弾)
日本の暗い部分に材を取ったモンド映画の流れを汲む作品。猟奇的で見世物の性格が強いジャンルなので、動く無惨絵という認識で、鑑賞させていただきました。ご容赦願いたい。
(無惨絵:ムザンエ、浮世絵のジャンルの一つで血みどろの残酷な場面を描いた物)
基となった『悪魔の飽食』は未読です。
同じ事書いてもアレですが、実際の死体を使った腑分けのシーンやリンチされた上官をたしなめる為行う動物虐待シーンの過剰演出よりも、ガス室の実験シーンの方がメンタルを削られた。
ストーリーテラーとして登場する少年兵達への虐待、洗脳。赤子生き埋め。小水濾過一気飲み。各種生体実験。上官たちのラーメン?をすすりながらする下衆い会話劇。男尊女卑など随所に悪趣味なシーンが織り込まれて、心休まる暇が無い。
褒めてます。
なかでも繋ぎで差し込まれる焼却炉のお爺さんが素晴らしくて、浪々と民謡?を歌いつつ、時に気がふれたように小踊りしながら、山と積まれた遺体の一部を炉へ放り込むシーンは、煙と一緒に哀愁と狂気をただよわせる。
特筆すべきはラストで、生と死、死と生の綯い交ぜになった混沌―――。
そして、静寂の中走り出す列車…。
何故か『ベルセルク』の〈蝕〉を思い出した。