鑑賞前は、一貫性が感じられなく、何処か胡散臭さが漂うような役者の配置に苦笑していたが、狙いどころが良く、役者の演出と配置に感心する。済し崩し的に主人公が巻き込まれて、タガが外れたバイオレンスな世界観の中で芽生えるスイートな恋のギャップは、『トゥルー・ロマンス』のようなテイストに。原作未読。
キャラのバイタリティが作品にパワーを齎し、ゾンビ映画のような胡散臭さや作為的映像や、ジワジワくるコミカルを挟むことで、抑揚が効果的なような。失われたヤクザの仁義を日本ヤクザと中国マフィアに取り入れて、これだけは譲れない〈個〉のルールを取り入れることで、人間味を加味することも同様に。
行き違いやすれ違いのような、〈人〉と〈薬〉の流れや、劇中の犯人の目安やベクトルの揺さぶりの終盤までの何気ない前ぶりが良い。それまでの、様々な情念やパワーを終盤に集結させて、タガが外れたような終盤の演出が愉快痛快に。何気に整頓された分かりやすい構成で、一晩の出来事に纏めた濃密さも好感。
過去作でひたすら大仰だった内野聖陽のベストアクトに。中国マフィア女の藤岡麻美の佇まいや、窪田正孝や大森南朋の胡散臭さも印象的で、作品のテイストとひたすらマッチする、役者の演出が冴える。中でもタガが外れたベッキーの爽快な猪突猛進さに、衝動を掻き立てられる快感的な何かがMVPに。主産後に前田敦子の顔がふっくらして可愛くなったと思ったら、ヒロインは小西桜子でした。
