ヒロマークス

幼い依頼人のヒロマークスのレビュー・感想・評価

幼い依頼人(2019年製作の映画)
3.8
美しいユソンさんの悪魔な継母っぷりが一番素晴らしかった。
ビンタがいちいち痛そうで、こっちまで泣き叫びたくなる迫真のビンタ。

箸の華麗な使い方に人一倍ウルさいユソンさん。

あまりの粗相に我慢ならなくなって、結婚相手の姉弟をめちゃくちゃに虐待しまくって、ブチ切れての足蹴り攻撃で弟殺し。
しかも、その罪を姉に擦り付けるという人でなし所業w

ユソンさんの颯爽とした美しさで余計に際立つ暗黒面。

大人社会に見捨てられ、継母の顔色を伺い、脅迫と虐待に耐え忍ぶ日々の生き残りお姉ちゃんの孤独なサバイバルが辛い。

助けを求めるも相手にしてくれない周囲に絶望しすぎて、口を閉ざしてしまった少女が、亡き弟と自分のために勇気を振り絞って沈黙を破る証言シーンが心揺さぶるし、緊張感満点。

ちと韓国映画にありがちな笑いを意識しすぎたり、大げさな感傷演出や説教臭さが鼻に付くが、骨太な社会派サスペンスの傑作だと思う。

親という絶対的権力者による躾という名の暴力支配。
家庭という閉鎖社会。
見てみぬふりをする学校と近所。
無力な児童相談所。
真剣さの足りない警察。

いつものパターンだが、それが悲しい現実というか、親が子供に対して一方的に権利ありすぎてる不利益が不健全という意味では、日本もその現状は変わらないよなぁといちいちため息しながら納得。

子供を生かすも殺すも親。
子供を育てる者は虐待もするのだ。
最も安心するべき家が、心休まる穏やかな場所ではなく恐怖と死をもたらす地獄という皮肉。

「幼い依頼人」はもしかしたらすぐ近所にいるかもしれない。
毎日、どこかで同じような境遇で苦しんでいる。
守られるべき親に殺されるかもと脅えながら。

そして、親という呪いであり、家という地獄から子供たちを救えないデクノボウの大人の自分がいるのだ。

ズッシリと心に留めて、思い知らしめる作品になっていた。

忌まわしき大人の悪意によるアザ顔に心痛むが、信頼に値する大人の善意に出会ってこぼれる笑顔が素敵な子役の女の子チェ・ミョンビンが、やっぱり上手すぎて震え上がる上級な演技のクオリティが圧巻。

ユソンさんの危険な色気がこれまた見事w

傑作ですねこれは。
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