世界で一番小さな鳥「はちどり」。
14歳の少女ウニを通して経済成長目覚ましい1994年の韓国社会の実情が浮かび上がる。
多感な時期の繊細や悩みを主演のパク・ジフが殆ど表情のみで演じ切っている。
籠の中の鳥のように息苦しく生きているのは少女ウニだけでなく、彼女の悩みの種である家族や恋人、友人も同じ。
社会からの抑圧は女性だけでなく、あらゆる階層に響き渡っている。
それを象徴する橋の崩落は韓国のみならず、すべての経済社会への予言にも見える。そんな先の見えない未来を若者は歩いていく。
監督のキム・ボラは、結局はちどりとは男性主義社会に挟まれた少女に見せかけて、資本主義に翻弄される人類そのものを、小鳥のようだと見立てている。