このレビューはネタバレを含みます
私はウニ、14歳
ソウルのアパートで両親と兄、姉の5人暮らし。
稼業は餅屋で
両親は出来のいい兄の進学に期待を寄せている
その兄は、度々私を殴る
餅屋の手伝いはするけれど
父と母が少しギクシャクしているから
あんまり気が進まない
学校ではとくに仲の良い友達もいないから
漢文塾で一緒の他校のジスクと
付き合ってもうすぐ120日のキム・ジワンといる時しか楽しくない
…ヨンジ先生と出会うまでは…
服装がダサかった先生に代わって現れたヨンジ先生は
今まで知り合ったどの大人とも違っていて
いつも不思議な微笑みを浮かべながら
私の話を聴いてくれた
耳の後ろのしこり
傷跡が残ると言われたのが軽くショックだけれど、
手術しないといけなくて
退屈な入院中に一番嬉しかったのは
ヨンジ先生が来てくれたこと
あなたの知り合い、顔を知ってる人は何人いますか?
その中で、心が分かるのは何人?
そんなことを言ってくれる大人はいなかったから、すっかり先生を好きになっていたけれど、今日はまた、心にずしんとくることを言われた
誰かに殴られたら、黙っていちゃだめよ
将来のことなどあまりに漠然としていて
半径10メートルの範囲内のモヤモヤを
振り払うようにジタバタしていた中学時代
ウニの見ている世界に
少しずつ光りが射して木洩れ陽の暖かさを感じはじめる
きっかけを作ったのも
更に背中を押したのも
ヨンジ先生との触れ合い
…そして、悲しい別離
もしかしたら、
声をかけても振り向かない母も
苛立ちを家族にぶつける父も
何一つ変わらないのかもしれないけれど
自分の置かれた位置を見つめる
その瞳、ウニの瞳が少しずつ開かれた
そう感じることが出来たから
はちどりのように
一生懸命羽を動かして
前に進むために